信大生が課題解決探り提案〜企業と市にプレゼン

2019-09-14 07:00 am by 須坂新聞

お知らせ icon 信州大学の学生4人が先ごろ、インター須坂流通産業団地(井上)に長野支社・研究所を置く「ディーアイシージャパン」(松縄真社長)を3日間訪れ、企業と市の課題解決のための「ローカルイノベーションキャンプ」を実施した。初日は市技術情報センターで学生と社会人(同社社員や市職員、一般ら10人)が暮らしや地域活性化について、自由に語り合うイベント「じもとーく須坂」を開いた。最終日には学生2チームが事業提案をプレゼンした。
 同社は本年度、信大全学サッカー部のスポンサーとして遠征費や道具代などの支援を始めた。昨年、企業と学生のマッチングイベント「大しごとーく」(対話を通して働くことを考える)に参加した松縄社長が学生と出会い、支援を依頼されたことがきっかけ。
 今年5月と6月にはサッカー部員や将来開発を希望する学生がインターンシップ(体験就業)で来訪。同社が目指す「自動車社会をIT(情報技術)で支える」現場に触れた。
 地元民とトークをかけた「じもとーく」は学生と社会人が自由に話し合うイベント。
 「須坂の市民性は」「若者にとって魅力ある街とは」「郷土愛醸成の取り組み方は」など参加者が思いついた議題を紙に書き、各議題に興味のある人がテーブルを囲んで20分間話し合った。
 地元を知る社会人が街の魅力や暮らし方を紹介し、学生が外からの視点を伝えた。互いを知り、交流を深める中から学生が須坂や同社の課題をインプットし、解決策を事業提案の形にまとめた。
 浅川雄介さん(経法学部2年)と小池太一さん(工学部1年)は「SDGs(エスディージーズ)から寺子屋まで」の中で同社の人材不足や市の子育て世代の確保を課題に挙げた。課題解決への道筋として、学習の場をつくり、社名を知ってもらうことでホームページアクセスを増やし志望者増加につなげよう―とした。
 ヤギを飼い、荒廃農地にヤギを放して活用を図り、太陽光発電を導入、地域の雪かきをし、AED(自動体外式除細動器)を保有、禁煙証明書など、本業のシステム開発以外に有機農業や環境保全、社会貢献活動に取り組むことから、企業の競争力強化を支援する県のSDGs(持続可能な開発目標)認証(SDGs推進企業登録制度、平成31年4月26日創設)に挑戦し、市とともにブランド力を高めて―と提案した。
 また、学校と自宅以外に居場所を創出する寺子屋プロジェクトと銘打ち、社名入り営業車で市内中高生を技術情報センターに送迎して同社と信大の学生が中高生の学習や疑問に答え、教育の向上と同社の認知度アップを図ろう、と提案した。
 一方、大宅剛生(おおたくこうき)さん(工学部4年)と須坂市出身宮崎愛斗(まなと)さん(経法学部1年)の「同社におけるひとにやさしい社会貢献」は、子育て支援を中心とする同社の社会貢献の仕方や、須坂市ブランドの定着の薄さ、公共施設活性化の課題に対して、新たなシェーブルチーズ(ヤギのチーズ)の開発や市のワイン産地に新たな魅力を加えよう―などと提案した。
 提案を受けて、松縄社長は「SDGs認証は実現に向けて取り組みたい。企業名アピールなどの方法も真剣に考えていきたい。シェーブルチーズは現在開発中。企業と自治体の課題を見聞きした学生が解決へ行動し提案した。彼らが3日間、一生懸命に考えた気持ちが伝わった」。
 市(産業連携開発課と商業観光課)は「学生がインターンシップの一環で産官学連携をテーマに実施したワークショップの現状ヒアリング分析の成果。製造業の人材不足に、また観光客へのアピールに、市のブランドイメージを高めることが必要だと指摘された。貴重な提案を受け止めたい」と取材に答えた。

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