藤巻建設の「米子北の沢用水発電所」が完成〜4年間の実証試験スタート

2019-06-08 07:00 am by 須坂新聞

お知らせ icon 藤巻建設(飯山市、藤巻篤社長)が一般財団法人新エネルギー財団の事業認定を受けて本年度から4年間、実証試験を行う「米子北の沢用水発電所」(須坂市米子町)が完成し2日、現地で披露会を開いた。米子町区、須坂市、北の沢・城ケ鼻両水利組合、金融機関の関係者約15人が出席してテープカット後、通電スイッチを入れ、事業がスタートした。
 藤巻社長は「弊社水力発電事業の第一号案件として検討しながら進め、発電所の完成に至った。今後4年間、除塵(じょじん)装置や水車の効率などを試験研究していく。(5年後に売電開始を予定する)この地に長くお世話になりたい」とあいさつした。
 補助事業の名称は「水力発電の導入促進のための事業費補助金(水力発電実証モデル事業)」。クロスフロー水車と除塵装置の性能向上を目指し、普及・拡大のための技術開発をした。令和4年度まで実証試験(実機での性能確認)を行う。
 信大、湘南工科大、韓国・木浦大学校が研究で協力。最高効率と部分負荷効率の向上を図る新型クロスフロー水車は、水と空気の流れをコンピューターにより解析する手法(CFD解析)により抽出した流路形状を基にモデル機を製作し、性能確認試験を経て完成した。特許出願中。
 除塵装置は、目開き1mmのメッシュと二つの角度を有する特殊なスクリーン(幅3m)から流水を取り込み、取水効率の向上を図る新型。外部動力を使わず、可動部がない構造。水車側を制御してスクリーン面に付着するごみを浮かせて(流水の逆流による逆洗作用で)ごみを用水側へ流して取り除く。特許出願中。
 発電所から300mほど上流の北の沢用水路に設置したヘッドタンク(新型除塵装置)から水圧管路(内径700mm、延長約337m)をつなぎ、発電所の新型横軸クロスフロー水車と直結する発電機(横軸三相誘導発電機)で電気を起こす。流水は発電所から放水され、用水路に戻る。
 発電形式は水路式。最大使用水量は0.43立方メートル毎秒。最大有効落差(除塵装置から水車までの標高差)36.5m。最大出力は115kW。4人家族の年間消費量換算で100〜115軒相当。
 技術顧問の飯尾昭一郎信大工学部准教授は「いかに安くて性能のいい水車を作るか、いかに安定して水を取り込むかが重要な課題。実証事業でクリアして全国に展開していく。国内外の大学と民間事業者が協力。コンピューターのシミュレーションや実験室の試験を経てクロスフロー水車の新型を開発した。基本性能は検証しているが、4年間使い現場で性能を調べていく。除塵装置は水の力を使って表面のごみを洗い流すのが新しい。水車側を操作してヘッドタンクの中の水位を調整してごみを洗い流す。シンプルで使いやすい」と説明した。
 三木市長は「米子、北の沢の地名、用水名から名称をつけていただき感謝申し上げる。小水力発電がイメージアップになる」。竹前寛明米子町区長は「米子は自然エネルギーの宝庫としてイメージしてもらえる」。永田栄一北の沢・城ケ鼻両水利組合長は「山や水の復権になる事業。(各10町と4町でつくる)組合は協力できるときはして共に発展したい」と祝辞を述べた。
 設計は三峰川電力、WINエンジニアリング。施工は日本エンヂニヤ、JSE、東テク、須坂土建工業。管路材は本久、積水化学工業。保守は中部電気保安協会。
 同社は、7月10〜12日にパシフィコ横浜で開く第14回再生可能エネルギー世界展示会&フォーラムに出展を予定している。

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