須坂図書館が聴覚障がい者の利用向上へ福祉サービス係を配置

2017-06-03 07:00 am by 須坂新聞

お知らせ icon 長野県手話言語条例が昨年3月に施行され、手話やろうあ者に対する理解の促進、手話の普及などが地域社会の課題となっている。こうした中、須坂図書館は本年度、これまでの障がい者サービス係を改め、福祉サービス係として職員2人を配置し、幅広い福祉の観点から利用環境の向上を図る。
 先月25日には、聴覚障がいのある人たちが須坂手話サークルのメンバーと一緒に須坂図書館を利用した。この日参加したろうあ者7人のうち、ほとんどが図書館利用の初心者で、まずは希望者のみ、個人の利用者カードを作った。また福祉サービス係の職員から利用方法について説明を受けた。
 須坂手話サークルは今年に入って間もなく、須坂図書館の団体利用者カードを作り、最大30冊を1ケ月間借りることができるサービスを数回利用。毎週行っているろうあ者との交流例会で出張図書館を設けた。その中で「自分で本を選びたい」という要望が出たことから、例会活動の一環で図書館を訪れた。
 市内に住む60代の男性は「図書館が広くて驚いた。本もたくさんあって、読みたい本が借りられるのはうれしい」と館内を見渡し、さっそく料理のDVD2枚とノンフィクションの本2冊を選んだ。DVDで材料や作り方を確認しながら、妻のために料理を作りたい―と笑顔を見せた。
 また団体カードで手話うたのDVDを3枚借りた市外の70代男性は「前から見たいと思っていたDVDを見つけた。楽しみです」と嬉しそうに話した。カウンターでは図書館職員が筆談器を使い、借りる意志などを確認した。
 須坂手話サークル会長の長坂三由紀さんは「聴覚障がいのある人たちにとって、図書館を利用するきっかけが今まであまりなかったというのが実情かもしれない。今日を機に、利用してみようという人もいると思います」と話していた。
 同館は以前から、音訳ボランティア「須坂あかりの会」の協力で、新聞などを音訳し、目の不自由な人たちに利用してもらうサービスを行ってきたが、文平玲子館長は「耳の不自由な方々へのサービスが行き届いていなかったと改めて気づかされた。今後、福祉について理解をさらに深め、すべての方が利用しやすい図書館環境を整えていきたい」と話している。

2017-06-03 07:00 am by 須坂新聞 - 0 コメント



須坂新聞


 須坂新聞はタブロイド判(20P~24P)で毎週土曜発行(年間48回)長野県須高地域(須坂市・小布施町・高山村・長野市若穂地区)で購読をいただいております。また配達地域外でも郵送にてご購読いただけます。購読料は1100円(月額/税込)です。購読お申し込みはこちらから。