故 羽生田郁雄さんに「さくら功労表彰」

2017-04-29 07:00 am by 須坂新聞

お知らせ icon 臥竜公園桜守の会会長を務め、今年1月24日に他界した羽生田郁雄さん(享年77歳、須坂市豊丘上町)に4月22日、長野さくらの会(小林実会長、会員100人余)が「さくら功労者」表彰状を贈った。会は県議が役員を務める。桜の愛護・振興に顕著な功績のあった人に贈る。平成20年4月の設立以来、県内13団体を表彰。個人は29年度初。副会長の村石正郎県議が推薦者。
 会は日本さくらの会と連携し、桜を愛する精神の普及や緑化推進・国際親善を目的に活動する。新会長には望月雄内県議が就いた。表彰状は県林業センタービル(長野市)で開いた通常総会の席上、長男英昭さん(47)が受けた。
 平成13年春、豊丘上町中灰野梅ノ木地区でピンク色のフゲンゾウ(普賢象)に黄緑色に枝変わりした八重桜が見つかった。フゲンゾウは明治時代に植えられたとみられる古木。住民から羽生田郁雄さんに情報が寄せられ、羽生田さんは須坂新聞記者に連絡。珍しい八重桜として記事が平成13年5月19日付須坂新聞1面を飾った。
 羽生田さんはその後自宅で接ぎ木して苗木を育てた。旧園里村の生まれにちなみ「ソノサトキザクラ(園里黄桜)」と命名。平成18年には日本花の会から桜新品種に認定された。黄花品種は(1)ギョイコウ(御衣黄)(2)ウコン(鬱金)(3)スマウラフゲンゾウ(須磨浦普賢象)―に続く4種類目。
 一方、平成20年5月には、植物遺伝学研究者が羽生田宅を調査に訪れ、羽生田さんが育てるソノサトキザクラから枝変わりする緑色の桜を見つけた。羽生田さんは「ソノサトリョクリュウ(園里緑龍)」と命名。同21年に調査した日本花の会が新品種と確認した。
 旧園里村(灰野・大日向・坂田村が合併)で生まれた2種類の桜新品種を多くの人に見てもらいたいとボランティアで育苗・増殖。須坂市内や県内、北海道から九州まで、公共的な場所に贈った。また、臥竜公園では桜の樹勢回復や桜ガイドなどで尽くした。
 八重咲きの黄花系桜は5種類が知られる。このうち羽生田さんは2種類と関わった。
 平成24年3月、日本さくらの会「さくら功労者」表彰を受けた際の取材では「桜は日本を代表する花。咲くころには誰もが外へ出て花を見たくなる。こんなに人の心を癒やす花は他にない。大震災の悲しみや苦しみから、早く笑顔で生活が送れるよう願っている」。 また、同25年4月に県北部地震の被災地栄村へ贈った際は「桜は大勢が見るので公的な場所へ贈っている。須坂で、豊丘で生まれた桜を広めたいので営利は目的としない。見て心を癒やしてもらえればそれでいい」と思いを語っていた。
 英昭さんは4月25日の取材に「父は平成16年春から28年4月まで13年間に300本超の苗木を寄贈したようだが、多方面のご紹介とご協力のおかげと大変感謝している。各地で人々との出会いを楽しんだ。寄贈先では桜守の皆さんに守ってもらえるので園里(須坂)生まれの桜が各地に広がっていくことを想像していた」と話す。
 寄贈先は、須坂市・小布施町・高山村・中野市・山ノ内町・飯山市・木島平村・栄村・飯綱町・信濃町・長野市・旧戸隠村・千曲市・坂城町・上田市・小諸市・松本市・下諏訪町・伊那市・茅野市・飯田市・大鹿村(以上県内)
 青森県三戸町、宮城県山元町・石巻市・塩釜市、山形県南陽市の烏帽子山公園、新潟県五泉市の村松公園、富山県富山市の県中央植物園、東京都台東区の上野公園、大阪府交野市の大阪市立大学理学部付属植物園など。

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