果樹試験場が園芸功労賞〜シナノスイート・ゴールド育成が評価

2017-04-01 07:00 am by 須坂新聞

農業 icon 長野県果樹試験場(須坂市南小河原町)はこのほど、リンゴの県オリジナル品種シナノスイート、シナノゴールドの育成・栽培での貢献が評価され、全国組織の一般社団法人園芸学会(事務局=京都府)から園芸功労賞を受賞した。県内では37年ぶり。
 同学会は研究者らが大正12年に創立した学術研究団体で、会員約2,200人。同賞は園芸に関する産業の発展などに顕著な功績のあった会員・団体に授与される。
 受賞理由は▽両品種とも国内の多くのリンゴ栽培地域に導入され、品質面でも消費者から高く評価され、世界的にも注目されている▽栽培面積はシナノスイートが全国5位、シナノゴールドが全国6位で国内の主力品種に成長―など。
 両品種の開発は優良な中生種の育成を目的に昭和53年に着手。同試験場によると、リンゴ栽培は明治時代に国光や紅玉などの品種を欧米から導入することで始まった。その後日本独自のリンゴ育種が進められ、昭和45年以降は晩生種ふじ、早生種つがるを主体とする品種構成になった。その一方で柱となる中生種が定着しなかった。
 同試験場は昭和53年に交配したふじとつがるの組み合わせ97個体からシナノスイート、58年に交配したゴールデンデリシャスと千秋の組み合わせ495個体からシナノゴールドを選抜・育成した。シナノスイートは平成8年、シナノゴールドは11年に品種登録した。
 シナノスイートは10月上・中旬に成熟する赤色品種。果実の大きさはふじと同程度で、多汁で甘味が強く酸味が少なく食味良い。果実肥大が良好で豊産性で、長野県では標高500m以上の地域で着色が優れる。
 シナノゴールドは10月中・下旬に成熟する黄色品種。果実の大きさはふじと同程度で、甘味と酸味のバランスが良く、多汁で食味が良い。貯蔵性が良く長期販売できる。黄色品種で収穫適期の判断が難しいため、カラーチャートを用いた判定方法を開発した。
 日本農業新聞による果実売れ筋期待ランキングでは、両品種とも毎年上位にランクされる。シナノゴールドはイタリアの生産団体とライセンス契約が結ばれ、ヨーロッパでも商業的な栽培が進められている
 同試験場の玉井浩栽培部長は「約40年にわたる取り組みが評価され、大変ありがたい。ひとえに先輩方の多大な努力があって今回の受賞につながった。今後も品種改良に努め、さらに普及を図っていきたい」と話した。

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