須坂市南原町出身の小池千枝さん〜生誕100年、思いは脈々と

2016-09-10 07:00 am by 須坂新聞

お知らせ icon 須坂アートパーク内の世界の民俗人形博物館で3日から、開館20年記念特別展として、日本ファッション界のゴッドマザーと言われた須坂市南原町出身の小池千枝さん(1916〜2014)の生誕100年を記念する「小池千枝の軌跡〜100年の情熱」が始まった。前日2日には、小池さんの教え子のデザイナーや地元関係者ら約80人が出席してオープニング式典、内覧会、レセプションが盛大に開かれた。
 小池さんは須坂高等女学校(現須坂東高)卒。上京して、文化裁縫女学校(現文化服装学院)で学び、卒業と同時に専任教員に。長野市出身の小池正治さんと結婚したが、夫が戦死。一旦は2人の娘を連れて須坂に戻り、洋裁教室を開いた。その後、学院に復帰、新設したデザイン科の科長に就任した。
 37歳の時、子どもを母に預け、単身パリに留学。イヴ・サンローランらと机を並べて立体裁断を学んだ。帰国後は文化服装学院で数多くのファッションデザイナーを育て上げ、日本のファッション界を世界的レベルに押し上げた。1993年に勲四等瑞宝章を受章。翌94年に世界90カ国、1,200体の人形を須坂市に寄贈した。97年に世界の民俗人形博物館が開館、今年20年目を迎えた。現在は約3,000体を所蔵する。
 式典で、教え子の一人のコシノヒロコさんは「小池先生との思い出は数限りなく、思慕の念、感謝の気持ちでいっぱい。人形はファッションの縮図で、世界の人形がこれだけそろっているのは素晴らしいこと。これからも大事にしてほしい」、同学院同窓会「すみれ会」会長の田山淳朗さんは「私がまだ若いころ、小池先生には『感性よ』『パターンよ』とよくアドバイスをいただいた。その思いを後輩たちに伝えていくのが私たちの役目」とあいさつした。
 また、小池さんの次女川崎頌子さん(東京都)は「展示を拝見して、文化服装学院はすごい人たちを生み出したものだと、つくづく思った。素晴らしい企画で、須坂の皆さんに感謝したい。母が98歳まで生きたのは(教え子の)皆さんの活躍があればこそで、母は良い時代を生きたと感じる」などと話した。
 引き続き、同所でテープカットと内覧会、蔵のまち観光交流センターでレセプションが行われた。
 レセプションでは、コシノジュンコさんが「子どもたちにデザインに関心を持ってもらえるよう、学校の授業などで博物館に来てもらいたい」と話し、高田賢三さんの発声で乾杯。世界的デザイナーたちが須坂の食材で作られた料理や須坂特産の果物に舌鼓を打ち、「おいしい」を連発していた。
 特別展は11月29日まで開催。人形約500体のほか、小池さんから教えを受けたデザイナー17人、次世代を担う7人の作品などを展示している。イベントとしてワークショップ(9月18日を皮切りに全7回)やファッショントーク(11月27日)なども計画。水曜日休館。問い合わせは同館☎026-245-2340。

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