若者中心にまちづくりを〜金子教授、宮崎准教授と須坂考える

2015-12-05 07:00 am by 須坂新聞

お知らせ icon NPO法人ふおらむ集団999すざか図書カフェ、須高ケーブルテレビ、須坂新聞社は先月27日、「須坂の将来を考える会」をシルキーホールで開いた。講師に坂田町出身の宮崎雅人埼玉大学大学院人文社会科学研究科准教授(37)と、同氏の恩師金子勝慶応大学経済学部教授(63)を招いた。宮崎氏は「○○の町須坂」に当てはまる基幹産業を創る時期にあると強調。金子氏は、まちづくりは若い世代を中心に進めることを説いた。
 宮崎氏は須坂高―慶大卒。同大学院博士課程単位取得。専門は地方財政。「須坂市の経済・財政分析」の中で、富士通リストラによる須坂工場閉鎖を機に2002(平成14)年以降、市の平均所得(納税義務者1人当たりの課税対象所得)や製造品出荷額、小売業販売額が減少。市の財政力指数が低下し、出生数も減少しているとデータを示して説明した。
 「糸のまち(明治〜昭和初期)から電気・電子工業のまち(昭和17年〜平成14年)へ、60年周期で基幹産業が地域を支えてきた。2002年に須坂は別の町になった。新しい基幹産業で次の須坂を創る時期だ。製造業を中心に、または医療・福祉・農業・自然エネルギーなど別の道で。路線選択は市民自身が行い、市役所任せにすべきでない」と述べた。
 金子氏は、昔から地方の発展策の議論は、誘致型(工場や商業施設など)と内発型(下から創っていく)がある。大型商業施設が来ると、固定資産税が入り、パート雇用が増えるなどのプラス面と、渋滞により通勤が困難になるなどマイナス面も。可否を並べた公の議論が大事、とした。
 さらに、地元の努力なしによくなることは全くないので、誘致する人は責任を持ち、誘発効果をもたらすプランニングがいる。反対する人は、大型商業施設に代わって人を呼ぶ代替案を考える。誘致により一時的にはよくなるが、10年後に須坂の人口が維持されるかが前提。誘致型の開発は議論を出し合い、何をするか議論を尽くす必要がある、とした。
 また、成功する地方のまちづくりは、若い世代が中心になって進め、年配者がもり立てる。声が上がったときにリーダーシップがないと進まないので、首長のリーダーシップも大事。女性の人口だけに注目する議論から、教育や医療介護、産業雇用の整備充実も大事な要素、とした。
■開発と均衡発展に賛成5割
 市内外から110人が聴講。須高ケーブルテレビ・本紙共同の市政の課題アンケートには86人が回答。主要課題(複数回答)に「人口対策37人、高齢者対策37人、中心市街地対策35人」が挙がった。
 また、市内井上に計画される大型商業施設についての自由記述では、賛成の立場が74人中36人(約5割)を占めた。賛成者の記述からは、市郊外の開発自体に賛意を示す一方、開発はあくまで市街地活性化や市内商業との均衡発展を前提とするとの考えがみえた。
 反対意見は25人(3割)から。市街地の衰退を懸念し、市街地の買い物や生活が困難になる▽大型店は時代の流れの中で廃れる―などの見方を示した。
 一方、その他の意見(賛否不明や少数の意見)では、開発に伴うインフラ整備の市財政への影響を検討する必要性や、来訪車両が増える道路の混雑・交通影響予測の必要性が指摘された。また、市民生活を基本に据え対応すべき▽中心市街地の商業ビル閉店など既存商業への対応が先▽個人業者への対策強化―などが挙がった。
 主催者側は次回の開催を計画している。

2015-12-05 07:00 am by 須坂新聞 - 0 コメント



須坂新聞


 須坂新聞はタブロイド判(20P~24P)で毎週土曜発行(年間48回)長野県須高地域(須坂市・小布施町・高山村・長野市若穂地区)で購読をいただいております。また配達地域外でも郵送にてご購読いただけます。購読料は1100円(月額/税込)です。購読お申し込みはこちらから。