横井弘三が63年前に描いた兄弟9人の肖像画

2013-11-09 07:00 am by 須坂新聞

趣味・生活 icon 須坂市南原町の和久井進さん(70)宅には、異端の画家横井弘三が兄弟9人を描いた肖像画が残っている。写真は昨年開いた兄弟会で、それぞれが肖像画を持って記念撮影したもの。
 横井弘三は明治22年飯田市生まれ。26歳で彗星のごとく中央画壇に登場し大賞を総なめにした。だが画壇の権威主義に反発、昭和17年に美術界が軍の統制下に入ったのを機に画壇を去った。戦中戦後は長野市などを中心に暮らし、昭和40年に76歳で亡くなった。
 和久井さん一家は当時、須坂市仁礼地区に在住。仁礼小中学校の図画教師だった横井は和久井さんの父袈裟太郎さんと意気投合、毎日のように訪れた。食事などのお礼にと、多くの絵を描き置いていった。肖像画も和久井さんの祖母から次々と描いた。戦後で絵の具が手に入らず、肖像画は母とし子さんの紅で彩色したが「まるで日本画のように見事で我が家の家宝となった」という。7男和久井道夫さん(小諸市/後列右端)は当時生まれてなく、数年後にマジックインクで描かれた。 父袈裟太郎さんが平成18年に亡くなった後も毎年のように兄弟会を開き「肖像画を持って記念撮影しよう」と話し合い、昨年実現。
 和久井さんは「子ども好きで私もかわいがってもらった。物語に出てくるような不思議なおじいさんだった。肖像画が描かれて63年になる。今後も横井さんの功績を伝えていきたい」と話す。
 写真は前列左から長女山下則子さん(東京都)、次女和田恵子さん(須坂市南原町)、次男和久井輝夫さん(須坂市北相之島町)、3男和久井義夫さん(東京都)、4男和久井和夫さん(東京都)。後列左から5男和久井信夫さん(東京都)、6男和久井進さん、3女小山凪子さん(東京都)、7男和久井道夫さん。
 なお、横井弘三とオモチャン会が主催する横井弘三展はあす10日まで長野市大門町の竹風堂大門ホールで開催。和久井さん宅にも多数の横井作品や兄弟の記念写真を所蔵。鑑賞を希望する人は和久井さん(宅幼老所わくさん家)☎026-245-2546まで。

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