終末期対応で生前の意思表明統一版作製〜須高医療福祉推進協

2013-06-01 07:00 am by 須坂新聞

お知らせ icon 須高3市町村でつくる「須高地域医療福祉推進協議会」(事務局・須坂市)の中で、在宅医療福祉の包括的取り組みを協議する「第2専門委員会」(委員長・上沢修県立須坂病院副院長)は先ごろ、終末期の医療・ケアについて、生前の意思表明(リビングウィル)を記す統一書面・携帯カードを作製した。年月日を明記するため、内容は変更・撤回できる。啓発用ポスターも併せて作製した。
 回復の見込みのない人の苦痛を和らげ、精神的に支える終末期対応について、本人が最期の瞬間をどう生きたいかを残し、みとる家族や医療福祉関係者が共通認識に立ち、本人の思いを優先させるための意思表明書。同委員会の昨年度の話し合いの中から事業を進めた。国の24年度在宅医療連携拠点事業(須高地域における在宅医療推進体制の構築事業)に採択され、作製経費約70万円を充てた。
 印刷は本人用(A4判、携帯カード含む)1,000部、家族説明用パンフ(A4判)500部、ケアマネジャーや訪問看護師など関係者説明用パンフ(同)300部。
 本人用は「私の終末期医療に対する希望」として①心臓マッサージなど心肺蘇生②延命のための人工呼吸器③人工透析④胃ろうによる栄養補給⑤鼻チューブによる栄養補給⑥点滴による水分補給―の可否と⑦その他の希望を記す。本人署名のほか、家族等署名欄も。
 家族用は、安らかなみとりのために①旅立ちが近づいている時の状態(9項目)②旅立ちが訪れたときの状態③旅立たれたときの対応―を解説する。関係者用もほぼ同様。
 事務局の市地域医療福祉ネットワーク推進室は「本人が望む最期について、意思表明することがより良く生きることにつながる。日ごろから話題にし、リビングウィルの文化を須高地域に育みたい。家族や関係者が共通認識を持つことが終末期の不安を取り除くことにつながる。文化を変えることは時間がかかるが、心肺蘇生や人工呼吸器などの希望内容も分かりやすく説明していきたい」と話す。
 上沢委員長は「最期のときを迎えるその人にとって何が必要か、限りある命について、元気なときから家族も考えることが大切。地域が共通認識を持つことも大事」と話す。
 昨秋、同会が市保健センターで開いた「須高地域医療福祉を考える集い〜在宅でみとりができる地域をめざして」では、医師や民生委員協議会長が地域で最期を迎えることについて話題を提供し、映画「エンディングノート」を観賞した。
 アンケートに答えた93人のうち、自己の最期について考えたことがあるとの回答は73人と高かった。
 このうち、意思表示している人は38人と半数に(家族に口頭で25人、エンディングノート10人、ドナーカードや健康保険証に表示5人、リビングウィル2人ほか、複数回答)。また、自己の最期を考えたことがない回答者11人全員が今後考えてみたいと回答した。

2013-06-01 07:00 am by 須坂新聞 - 0 コメント



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