都市計画区域区分見直し〜すざか輝創会が「市民目線」で研究

2013-01-19 07:00 am by 須坂新聞

政治・経済 icon 市議会会派のすざか輝創会(永井康彦団長、10人)は、「都市計画区域区分(線引き)見直し」について調査研究を行っている。
 須坂都市計画(須坂市、小布施町)は、昭和46年に都市計画決定がされ、40年がたつ。須坂市都市計画は6回の定期線引き見直しや随時編入を経て現在、市街化区域942ha、市街化調整区域2,876ha(都市計画区域3,818ha)。会派内の4議員でつくる商工業部会の霜田剛部会長は「線引きが市の発展に支障との声が各種業界関係者から寄せられている。市民目線で考えたい」と話す。
 同部会は昨年、都市計画に詳しいコンサルや市担当部課から講師を招き、会派内研修を行った。先ごろは第4委員会室に県都市計画課の担当者を招き、会派研修会を開いた。その際、三木市長や中沢副市長、市関係職員、市農業委員会正副会長、宅地建物取引業界役員らも招いた。
 霜田部会長は取材に「昭和46年の決定から40年が経過し、メリットよりデメリットの方が市民生活には大きいのではないか。現状にあっていないのなら見直すべき」とする。
 また、同部会に所属し、都市計画法などに詳しい塩崎貞夫議員は「都市間競争が激しくなり、快適な自治体に人が集まる時代。諸政策を打つ必要があり、線引きの見直しはできるとの立場で検討したい。開発が抑制される市街化調整区域は、同法を適用して変えられるのか、線引きを廃止して市独自の土地利用規制をつくるのか。他の廃止事例も参考にしたい」とする。
 三木市長も「本人が所有する土地でも自由に利用や開発ができない線引き制度に市長就任(平成16年)以来疑問を持っている。土地の規制が須坂市のためになっているか、地方分権時代は市民や市の判断が重要。時代が変わる中で市にふさわしい都市計画の在り方を考える必要がある」と一般質問の答弁や都市計画審議会あいさつなどで述べている。
 線引きの要否については国の運用指針に基づき、県が5視点の判断基準を持っている。
 ①市街地外への宅地化の拡散抑制の必要性②市街地拡大の可能性③計画的な市街地整備の必要性④良好な自然的環境の整備・保全への配慮⑤隣接・近接する都市計画区域への影響―の5つ。
 また、県が平成20年に策定した県都市計画制度活用指針で、5都市計画区域(長野、須坂、松本、塩尻、豊科)は「引き続き線引き制度を継続」としたが、先ごろ、安曇野市が制度を廃止。現在は4区域となっている。
 区域区分は、高度成長期における都市のスプロール化(虫食い開発)の抑制を背景に、昭和43年に成立した都市計画法(新法)で登場した。都市の無秩序な拡大化に一定の歯止めとなっているが、須坂市など地方都市では市街化調整区域における地域コミュニティーの維持が難しく、人口減少や農林業の衰退、生活維持などが課題。
 対応策として、同法は34条1〜14号(市街化調整区域の土地利用規制緩和)を列挙するが、抜本的な課題解決には至っていない。
 また、線引きを廃止する場合、県は理由が明確になっていることが大前提とする。目指す都市像を明確にし、市が責任を持って土地利用規制を策定し、行政コスト縮減や暮らしやすさ向上のほか中心市街地の衰退や地域コミュニティーの維持などの解決も迫られる。
 慎重論も聞こえる線引き見直しへの調査研究は始まったばかり。議会、行政、市民全体へ関心を広げる必要がある。(監物武記者)

2013-01-19 07:00 am by 須坂新聞 - 0 コメント



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