【元旦号特集】須坂景観づくりの会の会員インタビュー

2013-01-01 07:01 am by 須坂新聞

趣味・生活 icon 須坂景観づくりの会(12人)は、昨年5月に発足した。若手経営者らが景観づくり事業を通じて須坂市の自活力の増進と郷土愛の育成を図るために集まった。第1事業の「須坂黒壁プロジェクト」は、歴史的建造物を結ぶ昔ながらの小路を黒板塀や黒格子戸などで統一し、白しっくい塗りの伝統的建物を引き立たせようとする町並み景観整備活動だ。昨年7月と11月に本上町で延べ85人が60㍍を塗った。事業は新年度も継続する。また、まちづくり講演会を2回開き、情報発信した。
 本紙は昨年12月、田中本家博物館の喫茶龍潜で出席者から1年目の印象を聞いた。
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 ―活動に参加して思うことは。
 田中 まちが活気づく何かできればとの思いだけで始めた。ここまで注目されるとは想像していなかった。
 山下 ここまで形として残るものができるとは正直思っていなかった。ただ、行動を起こし、それを継続していくことは簡単なことではないと痛感した。
 土屋 想像以上に反応があって驚いた。
 山崎 地元に対する気持ちが深くなった。
 坂詰 見過ごしてきた建物や小路などが意識的に見られるようになり、発見があった。
 牧 事業に責任を持ち夢中で走ってきた。仲間に助けられ、素晴らしい経験ができた。
 山岸 まちに対する皆さんの潜在的な思いが伝わってきた。
 小林 参加した子供は通るたびに「この場所は僕が塗ったんだ」と言う。自分の手でつくったまちが誇りになっていると実感した。
    ◇
 ―蔵のまち須坂のまちづくりについて。
 田中 須坂の個性は古い町並み、歴史にある。まちづくりは人づくり。須坂を誇れる人が増え、県外にファンを増やせたら、まちづくりにつながる。
 山下 須坂を愛する人に触れて意識が変化したように、今度は自分が周りの人にそんな意識が芽生えるように発信していきたい。
 山上 ゲストハウスに訪れるゲストは、このまちのおもてなしはすごくうれしいと言ってくれる。どこにでもある観光地にする必要はない。須坂らしく。まちの人は須坂を愛し、外のお客さまに伝えたらいいと思う。
 坂詰 高齢者や車の移動が不便な人に優しいまちができたら。
 牧 素晴らしい景観が他にもある。中心市街地を囲む農業景観と自然景観。会で少しでもアピールできればいい。
 山本 現在ある貴重な建造物などを残しつつ、観光客が大勢来訪するまちになることを期待したい。
 山岸 まちづくりの議論で「昔のような活気を」と言う人が多いが、そんな時代ではない。須坂の良さはさまざまあるので、現状のリソース(資源)で何をしてみようかと考えるべきだ。蔵造りだからとそれに合わせた古風なアイデアばかりでなく、先鋭的な仕事をする蔵のまちも魅力。
 若狭 おもてなし精神を軸に「蔵のまち須坂」をゆっくりと堪能し、居心地よいまちなか空間を提供し、回遊性を高める取り組みが必要。蔵で休めるなどの社会実験など。
 ①そもそも須坂の蔵とは「貯蔵」のためだけでなく、「生活の場」。その周知と企画取り組みが大事②誰のために蔵を活用するのか。商売(観光含む)、文化財として、次世代に残すため、などの課題を市民間で議論抽出し、横断的連携をしていけるかが大きな課題③観光客が求めているのは「蔵」を見に来るのではなく、おもてなしをする「須坂市民」に会いに来る。これを売りに。「蔵のまち須坂」という考えの徹底ができるか否か。
 小林 いかに後世に町並みや歴史的建物を伝えていくかが課題。より多くの人に存在と素晴らしさを知ってもらうことが必要。
    ◇
 ―このまちがどんなまちであってほしい?
 田中 古い建物を生かしつつ、新しいことができるまち。ここで商売してみようと思える若者が集まる元気なまちになってほしい。
 山下 自分が住むまちをけなす人が一人もいないまちに。
 土屋 そこに居たくなる、訪れたくなるまちであってほしい。
 山崎 まずは住んでいる人たちが愛着を持てるまちに。
 山上 住む人が誇らしいと思えるまち。外から来たお客さまが「また来るね〜」と言ってくれるまちに。
 坂詰 企業や個人商店に活気があり、子供からお年寄りまでが住みやすいまち。
 牧 古き良きものを大切にしながら、創造を重ね、市民と行政が手をつなぎ、慌てず一歩一歩理想のまちに変えていってほしい。今後もコツコツ取り組みたい。「成功の反対は失敗ではなく何もしなかったこと」だから。
 山本 わくわくするまちであってほしい。
 山岸 地域全体が景観を良くする方向で意見が一致するまちに魅力を感じる。
 中沢 周りの人たちと須坂に根ざす活動をし、人が集まってくるまちになってほしい。
 小林 横町中央交差点の角に「馬車よゆっくり走れ」の石碑がある。信州須坂町並みの会が発足10周年を記念して平成10年に建てたが、東山魁夷(かいい、1908〜99)画伯が同名著書(ドイツ紀行)の中で「歩み入る者に安らぎを、去り行く人に幸せを」と訳している。高い文化のこのまちをつくり、見守り、守ってゆく人が住んでいる。須坂の文化に触れた来訪者には安らぎと幸せを。いつまでもおもてなしのできるまちであってほしい。
 【インタビューを終えて】信州須坂町並みの会の四半世紀にわたるまちづくり運動を見て育った若者が今、熱いまなざしで蔵のまち須坂に視線を注いでいる。市独自の景観条例が施行予定の年。創造や活性化、来客増の結果の前には「須坂が好き」と自覚する人が大勢いることが肝心だ。
 (聞き手・監物武)

【須坂景観づくりの会】

理事長・小林義則(37、立町)
副理事長・田中和仁(37、穀町)山下徹也(36、中町)
理事・坂詰久(37、太子町)土屋武志(37、上中町)中沢定幸(48、長野市)牧克也(36、境沢町)山上万里奈(31、本上町)山岸修一郎(35、上中町)山崎喜彰(36、新町)山本純孝(37、八幡町)
監事・若狭清史(32、長野市)

2013-01-01 07:01 am by 須坂新聞 - 0 コメント



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