市長が「溶融飛灰の資源化」表明

2012-12-08 07:00 am by 須坂新聞

政治・経済 icon 三木市長は、長野広域連合が計画する一般廃棄物最終処分場に埋め立て処分する溶融飛灰処理物のうち、飛灰処理設備を通る前の溶融飛灰について、「金属資源が濃縮されることから、仁礼町に候補地をお願いしている処分場には埋め立てずに資源化するよう、長野広域連合に強く求めていく」との考えを表明した。先月28日、仁礼町区役員・組幹事・処分場を考える検討委員会委員に説明した。区は今月1日付で全戸に市長表明を通知した。
 最終処分場に埋め立て処分するのは、溶融スラグ、溶融飛灰処理物、溶融不適物の3種類で変更はない。
 溶融飛灰処理物とは溶融飛灰と反応飛灰に薬剤や水などを加え、飛灰処理設備で処理したもの。
 溶融飛灰は、焼却炉から出る焼却主灰と第一バグフィルターで除かれる焼却飛灰を溶融炉に通し、溶融炉バグフィルターで除かれるばいじんをいう。重金属(鉛や亜鉛など)や塩素などが含まれ、有害性とともに資源性が指摘されている。
 国立環境研究所によると、可燃ごみに含まれる鉛の場合、100で焼却炉に入り、焼却主灰に67.2、焼却飛灰に32.8の割合で分かれる。両者が溶融炉―溶融炉バグフィルターを通った後に出る溶融飛灰には98.6の割合で濃縮される。
 また、溶融炉から出る鉛は溶融スラグに0.8、溶融メタル(資源として売却)に0.6の割合で含まれる。
 溶融飛灰に含まれる有価金属について、市は「亜鉛は9割以上、鉛やカドミウムはほぼ全量が溶融飛灰に濃縮するとの報告がある。世界中から金属資源を輸入している日本は、国内資源を大切に、繰り返し使うことが求められる。有用金属を現実的な費用で回収できるのであれば積極的に進めるべき」とする。
 市が広域連合に資源化を強く求める背景は平成22年度に同連合が策定した「ごみ処理広域化基本計画」の中の記述にある。「溶融スラグの地域内での積極利用に加え、一部の焼却灰、飛灰は施設内で溶融せず、直接資源化(民間委託等)の検討も進め、併せて、溶融飛灰の山元還元などを積極的に進めることを検討する」。
 同計画の策定(23年2月)を受け、市は昨年8月に受け入れ先調査を始めたが、3.11以降の震災の影響で業者との協議や視察が進まない状況だった。
 今年7月、市と同連合の4人が三池製錬?(福岡県大牟田市)を視察し、「将来の受け入れ可能性について言質を得た」という。
 市は「溶融飛灰は特別管理一般廃棄物に当たり、三池製錬での受け入れは地元自治体との協議が必要だが、同社から受け入れ能力があるとの言質を得た」とする。
 今年10月には長野広域連合を構成する9市町村の副市町村長会議で須坂市の中沢正直副市長が「溶融飛灰資源化」の考え方を説明した。一方、理事会(市町村長会議)で須坂市が同様に説明。先ごろ、仁礼町への市長表明となった。
 溶融飛灰の資源化には地元仁礼町の検討会でも声が上がっていたという。
 中村久人区長は3日の取材に「地元としても資源化は望ましいとの考えを持っていた。区長任期は年末までだが、検討委員や区民の反応を知りたい。ボールが市から投げられたので受け取った区としての感じを何らかの形で市に伝えたいと思っている。資源の有効利用は地元としても歓迎する。一歩進んで議論ができる」とした。
 長野広域連合は6日の取材に「安定的にごみ処理をするには具体的にきちんと課題を解決する必要がある。溶融飛灰の資源化は広域連合として研究検討を進めていく」とした。
 山元還元とは溶融飛灰から非鉄金属や重金属を回収し、再使用する一連の操作。埋め立て処分せず、山元(精錬所)に戻す意。

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