2012-11-23 07:00 am by 須坂新聞
県は22日、県内産業の発展に功績のある25人を「信州の名工(卓越技能者知事表彰)」としてホクト文化ホール(長野市)で表彰した。須高地区からは、造園工で有賀佑司さん(68、須坂市井上町)染色工で木村不二雄さん(52、須坂市亀倉町)みそ製造工で中村元保(もとお)さん(48、須坂市本郷町)が輝いた。表彰は昭和45年から。今回で887人に。
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有賀さんは伊那市出身。農家で育つが「若いうちは外で働け」との父の言葉で長野市で働く。造園会社で庭の設計や施工、管理などを学び、昭和50年に第一緑地(長野市若穂町)を設立した。
これまで300以上の庭園を手掛けた。造園の魅力は「ゼロから造る喜び。同じ庭でも毎年、自然の中で変化が楽しめる」という。
以前は、末代まで残るような日本庭園が好まれたが、最近はガーデニングブームなどの影響で注文が半減。技術の継承が大きな課題となり、20年ほど前から須坂園芸高校の職場体験を受け入れている。同校卒業生で自社社員の鈴木幸さん(20、長野市)が先ごろの技能五輪全国大会で銀賞を獲得した。
長野造園事業協同組合の理事長を務めた平成9年には、陣頭指揮で長野五輪選手村の中に庭園を整備。須坂市ではメセナホールや湯っ蔵んどの造園などを手掛けた。「依頼人の立場となり、基本を大切にする。その上で美を追求、心落ち着く空間を築くことが大切。受賞は妻、社員らのおかげ。感謝を胸に自分の技術を若い人に伝えたい」と話す。
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木村さんは東京都出身。神奈川県職員時代に草木染に興味を持ち、平成3年に長野県に転居。長野市の染色作家小山仁郎さんに師事して12年間学んだ。11年前に独立し、6年前に現在地で工房「風(ふう)」を設立した。
自然に関わる仕事がしたいとの強い思いが草木染との出合いにつながった。草木染はリンゴの樹皮、桜の葉などから取った染料を使って着物などを染め上げる。江戸時代に始まった友禅染は現在ほとんどが化学染料で、草木染友禅は長野県だけに伝わる技術。
草木染は化学染料と違って、優しい色合い、奥深さ、繊細さが魅力という。最近は着物を着る人が減り、需要が小さくなっている。後継者の育成も大きな課題。
木村さんは「草木染は自然の命をいただくので色に力がある。身近な自然に関心を持つと、その美しさに改めて気がつく。受賞は大勢の方の支えあってこそ。さらに伝統文化を守り、伝えるために頑張りたい」と話す。
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中村さんは高水みそ業界では2人目。須坂市内では初。
国士舘大政経学部経営学科4年の時、単位取得の関係で自宅から大学に通い、大正時代から祖父、父と続く中村醸造場を手伝った。卒業後、家業に。信州みそ研究所の指導を受け、妻秀子さんとの結婚を機に醸造業に専念することを決めた。
家業の味が土台にあり、研究所の指導もあってこうじ造りに機械製麹(せいきく)を導入。省力化、機械化を図ったが、味が違うとの消費者の声に原点の「箱盛りこうじ造り」に軌道修正。受け継いだ造り方に答えがあることを学んだという。
「3Kと言われた時代にこだわって、早く結果がほしかった。焦っていた。一方通行だった」と振り返る。
一方、箱盛りこうじに合う信州独自開発のこうじ菌と出合い、香り、うま味の高い商品に飛躍を遂げた。
また、偉大な経営者に出会い、商売全般を顧みる機会を得た。
「お客さまあっての商売と感謝している。師や先代、従業員、家族に感謝し、名工として与えられた課題に精進したい」と話す。
2012-11-23 07:00 am by 須坂新聞 - 0 コメント
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