須坂市北横町の伊藤俊子さん、内閣府から表彰〜エイジレス・ライフを実践

2012-10-07 07:00 am by 須坂新聞

趣味・生活 icon 年齢にとらわれず自らの責任と能力において生き生きとした生活を送る「エイジレス・ライフ」の実践者に、須坂市北横町の伊藤俊子さん(80)が選ばれ、このほど内閣府から表彰された。今年度のエイジレス・ライフ実践者(個人)は全国で59人。社会参加活動のグループは41団体。
 長年にわたり、編み物や押し花などの普及、指導を通じて幅広い世代とふれあい、最近では東日本大震災の被災地に手編み帽子やマフラーを贈るなどの取り組みが認められた。「私1人でここまできたわけではない。たくさんの方に助けられながら、一緒に楽しんでこられたことに感謝したい」と話す。
 伊藤さんは、福島県郡山市生まれ。旧制女学校を卒業後、「手仕事は一生の宝」という母の言葉で被服専門学校に進学。和裁、洋裁など広く学び、中でも一本の糸から様々なものができ、やり直しもきく編み物に強くひかれた。1958年に夫・利三さん(平成19年他界)の転勤で須坂市に移り住み、編み物教室を開校して50年以上がたつ。
 22年前、東京に押し花作家の杉野俊幸さんを訪ねたことが、須坂発祥といわれる押し花文化へと発展する。帰り際にバラの押し花をもらった伊藤さんは使い道に悩み、考えたのが、故郷の母に送るはがきに接着剤で貼り付けた押し花はがき。後に花の固定方法に改良を加え、須坂郵便局のイベントスペースで無料の体験会を定期開催するようになった。毎回好評で、東京からも講師の依頼が舞い込んだほど。その頃から押し花の全国組織「ふしぎな花倶楽部」で変色しない押し花文化を普及。5年後には信越花倶楽部を立ち上げ、今年はちょうど押し花の活動20周年の節目を迎えた。
 信越花倶楽部の会員は長野、新潟など5県に約1,200人。会員のインストラクターと共に学校や婦人会、福祉施設などを訪問し、指導にあたる。「特に子どもたちはいろんな感性を見せてくれるから、楽しいんですよ」。教師になることを父親に反対され「手仕事」を宝にした今、子どもたちとふれあう機会に恵まれたことに感慨深げだ。
 昨年の東日本大震災・長野県北部地震は伊藤さんの心を動かした。少しでも故郷の役にたちたい―と、編み物ボランティアを募集。自宅にストックしてあった毛糸を使い、ボランティア50人で昨年1年間に帽子1,000個、マフラー300個を届けた。現在も活動は続行中で、東北や栄村の子どもたちとの交流も続く。
 「店番をしながら編み物をしていた母の姿、バラの押し花はがきをきれいと喜んだ母のひと言が私の人生を導いてくれた。楽しそうなことは何でも挑戦してみるという私のチャレンジ精神も、新しいもの好きの母親譲り。今は息子がどんどん新しいものを探してきてくれるので、まだやりたいことはたくさんあります」。
 たくさんの押し花仲間や編み物ボランティアに囲まれ、これからもにぎやかな日々が続く。

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