元気なペンギン〜連日の大脱走劇

2012-08-25 07:00 am by 須坂新聞

観光 icon 10月に開園50周年を迎える須坂市動物園は今夏、生後3カ月になるフンボルトペンギンの3回にわたる脱走騒動に揺れた―。いずれも無事捕獲されたが、1回目は8月12日、次いで14日。再発防止策を重ね、もう逃げられないはずだったが、21日、運動神経抜群のひなは3度目の脱走を果たした。想定を超えるジャンプ力に飼育員らは驚きを隠せない。開園から昭和、平成と半世紀の間、ペンギンの脱走歴はない。動物園関係者の困惑とは裏腹に、飛べない鳥・ペンギンのチャレンジ精神に富んだホットな話題は、同園の名誉園長アカカンガルー・ハッチ(平成21年11月25日他界)をほうふつさせる。

 ペンギンのひなはことし5月、開園以来初となる4羽(性別不明)が誕生した。現在は体長約70cmまで成長し、人間にすると小学生ぐらいの好奇心旺盛な年ごろという。
 12日は2羽が脱走。1羽は動物園脇のU字溝で捕獲した。もう1羽は臥竜公園内の竜ケ池で泳いでいるところを発見、ボート数隻を出して4時間後にたも網で捕まえた。
 14日は、また別のひなとみられる1羽が脱走し、竜ケ池で遊泳中を捕獲。さらに21日、2回目と同じひなを池で捕獲した。
 ペンギン舎は階段を上ったり、すべり台で遊ぶペンギンの姿を間近で見ることができるオープン型の展示施設に平成22年3月リニューアルした。
 同園は1度目の脱走直後から、ひながすべり台の脇から飛び降りた可能性も含め、プールの柵の下側など、通り抜ける可能性のある箇所に透明のアクリル板やベニヤ板を設置していた。
 3回目は、プール底から縁を利用して二段跳びし、約80cmジャンプした可能性が高い。さらに通路のネットも乗り越え、園入り口の門扉をすり抜けたとみられる。
 飼育員の小林正和さんによると、2、3回目に脱走したひなは、一番最後に孵(ふ)化して成長が遅く、体も小さい。通常親離れの時期になり、口移しで餌がもらえなくなると、自力で見つけるようになるが、このひなはいつも出遅れて餌を食べそこねてしまう。外へ行きたい好奇心と、海(池)へ餌を探しに行こうとする本能が働き、必死だったのでは―と推測する。
 市公園管理事務所の丸田勉所長は「不測の事態。ペンギンとはいえ、飼育動物を逃がし、地域の皆さんに不安を与えてしまったことは事実。大変申し訳ない」と話す。
 小林飼育員も「4羽が誕生した喜びの半面、4羽同時に管理する難しさも痛感している」と心境を語る。
 同園は最終手段として、ペンギン舎の周囲と階段脇に高さ1㍍の透明アクリル板を設置した。作業のため一時隔離していたひなは25日には戻る予定。
 なお、お盆前後の8月11日〜19日の入園者数は、昨年の同じ期間の約2倍となる8,518人。仲間入りしたばかりのカピバラ(世界最大のネズミ)舎、モルモットのふれあいコーナーなども家族連れで人気だった。

2012-08-25 07:00 am by 須坂新聞 - 0 コメント



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