【特集】思い出の屋代線⑥「屋代線用地〜有効活用いかに」

2012-01-01 07:00 am by 須坂新聞

お知らせ icon 長野電鉄屋代線は今年3月末に廃止となるが、今後、鉄道用地の後利用が課題となる。長野電鉄は昨年秋、沿線3市に対して一括での無償譲渡を申し入れた。これに対して3市とも有効な利用法があれば受け入れる方針を示しているが、その場合でも施設の撤去は同社に求め、不要な土地は受け入れない考えだ。長野市では沿線地区などが次世代型路面電車(LRT)を模索する動きや、バス、自転車専用道路、地域交流施設への活用などの要望があがっている。一方で、細長い鉄道敷は用途が限られることから、活用されず荒れ地となることを懸念する声も聞かれる。
 屋代線(千曲市・屋代駅〜須坂駅、13駅)は全長24.4㎞。用地は須坂駅と屋代駅を除いて約25ha(長野市約18ha、須坂市約3ha、千曲市約4ha)。
 一括譲渡の申し入れに対して、3市とも検討組織を設けるなどして市民からの意見を聞きながら跡地の活用法を探る方針。長野市ではすでに地域ごとの組織を立ち上げて住民から意見を聞いている。
 同市は平成24年度内に実施可能な事業を決定し、25年度から実施したい考え。須坂市もほぼ同様の意向。平行して長野電鉄とも実務協議して調整を図る。サイクリングロードなどの横断的な活用案については「必要に応じて3市で話し合いたい」(長野市交通政策課)とする。
 長野市の沿線地域では、松代や若穂など市南部5地区の住民自治協議会が屋代線の用地を活用したLRTを検討、12月市議会に導入を求める請願を提出し、採択された。
 LRTは床が低くて乗降しやすい、騒音が少なく乗り心地がいい、省エネ性に優れるなどの特徴がある。国内では富山市で走っている。
 構想では、長野駅東口から県民文化会館、ビッグハット、長野日赤、川中島古戦場、南長野運動公園、松代、若穂など市南部を循環させる。善光寺にもつなぐ。松代と若穂は屋代線の鉄路を活用し、ほかは車道などに新たに鉄路を敷設する。
 観光地や大型施設、住宅街などを結ぶ新たな交通ルートとして、アクセスの充実が図れるほか、誘客や道路の渋滞緩和などにも効果的―としている。
 若穂地区ではすでに市に対して、駅舎の活用法としてバス待合所、地域交流施設などを要望している。
 また、12月15日に開いた「屋代線わかほフォーラム」では、出席者から駅を中心とした新たなまちづくりとして▽歴史的な価値がある信濃川田駅や綿内駅への旧モデル電車の設置▽駅一帯の公園化▽案内所▽屋代線記念館▽レールを利用しての観光用レール自転車の整備―などの意見があった。
 地域住民からは「関崎橋や国道403号の渋滞緩和のため、一部をバイパス道路にしては」「川田は人口減少が著しい。特に子どもが減っている。人口増加策として川田駅一帯を住宅地に」などの声も聞かれる。
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 2002年に廃止された長野電鉄木島線(中野市・信州中野駅〜飯山市・木島駅、12.9㎞)の跡地は、一部が県道バイパスや北陸新幹線などに活用されたが、半分以上はレールや駅舎が撤去された後、そのままの状態となっている。住民らによって手入れされている場所もあるが、多くは雑草が生い茂っている。
 中野市の旧柳沢駅近くに住む農家男性は「昔は千曲川沿いを列車が走り、きれいな風景だったが、今は雑木林のようで景観を損ねている。以前は少し草刈りをしていたが、きりがない」と話す。
 一定のまとまった面積がある駅舎やその一帯はある程度の活用法が考えられるが、軌道敷は幅7mほどで用途が限られる。行政が譲渡を受け入れなかった場合、民間業者や市民らが住宅地などで購入することも考えられるが、そうした場合は虫食い状態になるのは避けられない。
 須坂市では一部の市民から、サイクリングロードなどの声があるが、本格的な論議はこれからだ。
 用地の活用は、これまでの屋代線存続問題のように利用するしないに関係なく、沿線住民に関わる問題となってくる。住民から意見を出し合い、有効利用、活性化に結び付けられるか―。

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