【特集】思い出の屋代線②「駅長一家と交流」

2012-01-01 07:00 am by 須坂新聞

お知らせ icon 私が井上駅前で営んでいる「越後屋」は屋代線とほぼ同じ時期に開業しました。子どものころは目の前が一面田んぼで、駅から西側はさえぎるものがなく、春には遠くに善光寺の桜が見えました。
 まだ乗用車が普及していなくて、電車で会社や学校に通う人が多かったです。そのため、須坂駅に向かう朝の3両編成の列車は、屋代方面から多くの人を乗せていて満員でした。井上駅から乗車する人は50人以上いて、駅員だけでは人手が足りず、私の父親も手伝って、乗車する人の背中を押して無理やり車内に押し込んでいました。客車が足りなかったのか、屋根のない貨物車にも人が乗っていて、雨の日には傘をさして乗っていました。
 40年ほど前は駅周辺でリンドウの栽培も盛んでした。農家が荷造りしたものを井上駅から電車に乗せて出荷していました。
 駅舎には駅長が一家で住んでいて、家族ぐるみの付き合いがありました。駅舎には風呂がなかったので、私の家の風呂を貸したり、当時駅長だった橋本辰男さん(須坂市八幡町)家族にはきのこ狩りやスキーに連れて行ってもらったこともありました。
 毎日、電車で通う知り合いや、顔見知りになった利用者とあいさつを交わすのも楽しみの一つでした。無人駅になってからも、長野線と間違えて屋代線に乗ってしまい困っている人や、初めて来た人に乗り方を教えてあげるなどして、いい交流の機会になりました。

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