随契による市の修繕で元市議が住民監査を請求

2011-11-05 07:00 am by 須坂新聞

政治・経済 icon 元市議の丸山久雄さんと小林紀雄さんは、市が所有する日帰り温泉施設「湯っ蔵んど」の修繕工事(随意契約17件)について、市は同一社に発注しているが、すべて随意契約により発注しなければならなかったとは考えられないとして31日、監査委員に対して住民監査を請求した。平成21年4月から23年3月までの落札額の合計と、予定価格の合計を競争入札に付した場合の市の22年度平均落札率で計算した金額との差額約854万円を損害額として穴埋めに必要な措置を市長に求めた。
 提出した請求書によると、市は2年間に7,500万5,000円を修繕工事に支出した。随意契約17件の予定価格は7,537万2,000円で平均落札率は99.51%と高い。このうち12件は100%で落札している。事前に業者から提出された参考見積額をそのまま予定価格に定めていた可能性が非常に高い。
 また、9月8日の市議会一般質問で、市は業者が提出した参考見積書を専門技師がチェックしていなかったことを認めている。本来の姿である技師のチェックが入っていれば、さらに節約できたと考えられる。適正性や公正性、透明性、競争性、経済性等を欠く違法かつ不当な契約で、公金支出も違法かつ不当、と指摘した。
 さらに、議会で取り上げられるまで知り得なかったことから、請求期間制限の適用はないと考えるが、直前1年間の6件に限ると、(同様の計算で)差額約384万円が損害額。これにも本来の姿である技師のチェックが入っていればさらに節約できたと考える、と主張した。
 提出後、丸山さんは取材に「民間常識と乖離(かいり)するおかしいことはおかしいと言いたい。市民も関心を持ってほしい。職員は気を引き締めてほしい」。小林さんは「額の多少の問題ではない。これが当たり前に行われているとしたら困る」と話す。
 今井彰代表監査委員は31日の取材に「地方自治法のルールに基づいて受理するか判断したい。次に内容審査へと粛々と手続きを進めたい」と述べた。
 監査・勧告は60日以内。請求に理由がないと認めるときは請求人へ通知、公表。一方、監査を実施し、理由があると認めるときは長等へ勧告、通知、公表する。監査委員は議会選出永井康彦氏と二人。

■技師、財政課チェックを追加
 請求のきっかけは、石合敬議員の市議会一般質問。21年度と22年度の浴室や機械設備の改修・修繕など17件が落札率99.51%。業者は同一社。見積もり者は21年度途中から1社追加し2社(22年度は1社のときも)。
 3月議会で石合議員は「業者が悪い訳ではない。これを許している行政の体制が今の世に合っているのか」とただした。
 三木市長は答弁の中で「今までやってきたことについて何かおかしなことがあるということではないが、もう一度検証し、よりよくがあればその部分は検討していく」とした。
 中沢正直総務部長は「見積もりがきちんとチェックできる体制を整理する課題の一つとは思っている」。玉井淳一産業振興部長は「今後チェック体制等も整えていきたい」とした。
 市は4月1日付で担当課が行う支出負担行為の事前合議等のうち、財政課長と合議すべき事項に「修繕料(100万円以上)」を加え、担当課をサポートする体制を整えた。
 随意契約の正当性について、玉井部長は1日の取材に「地方自治法と同法施行令を適用して競争入札に適さないときや緊急の必要などで、ふれあい健康センター建築に携わり、構造や状況を熟知する業者への指名が最も適当と判断し、随意契約を採った。市民をはじめ利用者によりよい、迅速な修繕が可能と判断したため」とする。だが「反省もあり、技師や財政課のチェック体制を整えた」とする。
 石合議員は2日の取材に「住民監査請求人には3月、6月、9月議会を重要視してもらい、大変ありがたい。修繕の緊急性は認められるが、その社の特殊性は、以前の工法が今でも1社だけとは普通はあり得ないので全く当てはまらない。1社しかできないとなればその社が存在しなくなったときは維持できない。改善は指摘したかいがあった」と話す。

2011-11-05 07:00 am by 須坂新聞 - 0 コメント



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