目に見えない宝を大切に〜中心市街地活性化

2008-07-31 07:00 am by 須坂新聞

工業・商業 icon 須坂商工会議所が18日、同所で開いた市中心市街地活性化フォーラムの基調講演で、日大法学部の稲葉陽二教授は「地方中小都市から工場は去っても人は去らない。信頼、規範、ネットワークを大事に、美しく、歩いて楽しく、安全で野菜や果物が高品質の誇りの持てるまちが活性化のポイント」と指摘した。パネルトークでは「中心市街地をどう蘇らせるか」をテーマに意見交換、稲葉教授は「目に見えない宝を大切に。これが活性化のキーワード」と提言した。
 約150人が出席した。同会議所は国による選択と集中の仕組みを導入した18年改正施行の中心市街地活性化法などまちづくり3法の改正に伴うまちづくりを進めるため、6月、中心市街地活性化特別委員会(塩崎貞夫委員長)を設置した。
 法に基づく中心市街地活性化協議会の設置や、市が策定する中心市街地活性化基本計画に向けての機運の醸成を狙い開いた。
 稲葉教授は「都市振興策の選択肢には 1.企業に来てもらう 2.人に来てもらう 3.人に住んでもらう 4.商品を買ってもらう―がある。地方中小都市には近くに地方中核都市があり、商業は周りの農村と住民ニーズに応えることになり、一次、二次産業と地域外の購買力が支え、商圏は小さい」。
 また、「人々の交流を活発にするきっかけをつくるのは行政の仕事だが、市民参加が基本。中心市街地活性化を商店街の活性化ととられると難しい」。
 地域再生のソーシャル・キャピタル(社会関係資本)については「地縁・血縁に頼る結束強化型と橋渡し型がある。閉じた結束強化型はたこつぼ化して柔軟性に欠け、非効率で行政など縦割り組織の活用は難しい。開いた橋渡し型のネットワークは効率的。人と人とのきずなが健康にも影響する」と述べた。
 同大学大学院生で、稲葉教授の指導を受ける須坂市境沢町出身の佐藤群将(ともすけ)さんは、昭和52年〜平成17年の間の市の中心市街地を調べた結果「新規空き家や新規駐車場が増え、薬局や医院が新規に出、区画整理事業による市営住宅など公共施設の新設がみられる」と指摘した。
 パネルトークは稲葉氏、井上忠惠副市長、角田正雄市商店会連合会長、喫茶店経営の中山絹代氏、塩崎委員長の五人が▽まちづくりには強いリーダーが必要▽人間のきずなや温かさを生かす事業を進める▽有機的なネットワークを構築する―などの持論を展開した。

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