死者に捧げる蘭の花なし

2005-06-14 12:00 am by 須坂新聞

お知らせ icon 須坂市穀町の笹岡靖(おさむ)さん(66)はこのほど、笹岡靖(やすし)のペンネームで初めての小説「死者に捧げる蘭の花なし」(四六判、322ページ)を東京の新風舎から発刊した。長野を舞台に、調査員が殺人事件の真相とそのカギを握る女性や関係者の隠された過去を追う本格ミステリーだ。
 笹岡さんは10代のころに米国の作家レイモンド・チャンドラーなどのハードボイルド小説に影響を受け、海外作品を中心にミステリーを愛読するようになったという。
 社会人になってからも熱がさめず、ミステリー好きが高じて37歳の時に同作品を書き始めたが仕事が忙しく中断。その後、20年以上眠ったままとなっていたが60歳で退職したのを機に再び執筆に取りかかった。
 構想は当初のままに、舞台となる長野のほか、横浜や横須賀など作品のイメージに合う場所を訪ね歩き、取材するなどして完成させた。物語の背景には笹岡さんの育った戦後社会も取り入れ、時代の波にほんろうされた人々の苦難や悲しみも伝えている。
 「自分の小説を出したいという夢があり、約30年かかったがようやく実現してうれしい。専門的な取材や調査は大変だったが、思い通りの作品に仕上がり満足している。多くの人に読んで楽しんでもらいたい」と話している。定価1,800円。市内の書店などで販売している。問い合わせは新風舎?03―5775―5040まで。

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