【講演】憲法が保障する学習権大事に〜前川前事務次官が須坂で語る

2018-03-24 07:00 am by 須坂新聞

お知らせ icon 安倍9条改憲NO!須高市民アクション(代表・荻原公和連合長野高水地協議長)は先ごろ、前川喜平前文科省事務次官を市シルキーホール(須坂駅前)に招いて「未来を照らす日本国憲法講演会」を開いた。「学ばなければ人権が奪われる危険性が常にある。尊厳や人権を守るためには学習が必要だ。教育を通じて基本的人権は確かなものになっていく」と述べた。
 演題「これからの日本、これからの教育」の中で「憲法が保障する学習権は、人権保障の中で重要な役割を果たしている。例えば、ブラック企業に虐げられる若者が労働基本権を知らなければ、権利の主張ができず、無知が故に搾取が起こる」。
 戦争も無知に起因するので互いに知り合うことが平和維持には大事だとした。
 「ヘイトスピーチも相手を知らないところから生まれる。ユネスコ(国連教育科学文化機関)は教育・科学・文化の分野で協力し合うことを憲章にうたっている」
 平和維持には「過去に学ぶことも大事」だが「不十分だったと教育行政をやってきて反省している」。
 「人権教育、平和教育、民主教育は、憲法の理想を実現するためになくてはならない。もっとしっかりやってこなければいけなかった。結果として、若い人が憲法の理念から離れてきていると心配している。戦争体験者の話など引き継いできたものを次世代に引き継ぐことが必要だ。それは公教育、学校教育の場でやるべきだ」。
 4月から教科となる道徳について「型にはめたり、特定の価値観に誘導する考え方を取るべきでない。道徳教育においての道しるべは憲法。自由な精神を形成する権利があるので特定の道徳を子供たちに刷り込むことはしてはいけない」。
 今支援している夜間中学に学ぶ人は、全国31校に約1,800人ほどいて、その8割が外国人という。
 「新生児が減り、移民を受け入れつつ多文化・多民族の日本社会をつくっていく。マイノリティーを尊重し合う社会に取り組まなければ国は成り立たなくなるのでは」
 国有地売却に関わる財務省の決裁文書改ざん問題について「国家公務員を38年やっていたという観点で考えると、役所の人間がするはずがない。自らの判断ですることはあり得ない。何らかの政治的な力が働いていると考えざるを得ない」。
 大阪と愛媛の二つの問題は「規制緩和の名の下に小学校と大学の学校設置の認可に関わり、公的な資産を提供するという似た構造であり、いずれも行政の私物化と言って差し支えない」とした。
 講師は1955年、奈良県生まれ。東大法学部卒。79年に文部省入省。16年に事務次官に。17年退官。大学獣医学部新設は「総理のご意向」だとする文書の存在を証言した。
 300人を超える聴講者が詰めかけた。

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