2014-09-06 07:00 am by 須坂新聞
須坂市沼目町の住民らが、かつて地域で数多く栽培された伝統野菜「沼目越瓜(しろうり)」の普及に取り組んでいる。今年4月に有志で沼目越瓜の会(田中邦秋会長、会員9人)を立ち上げ、栽培方法などを試行錯誤しながら8月下旬までに1t超を収穫した。このほど、かす漬けにして販売するための漬け込み作業を行い、11月の「須坂うまいもん祭り」での販売を計画している。販売の際に、信州の伝統野菜認定証票(認定マーク)が使えるよう、「伝承地栽培認定」を申請中。今後は会員数を増やし、継続的な生産体制を整えていきたいとしている。
沼目越瓜は同地区で栽培されてきた在来種で、県が定める「信州の伝統野菜」に選定されている。同会によると、皮が薄く肉厚で歯応えがよく、かす漬けに最適という。江戸時代から漬物用として栽培され、昭和初期には採取組合が発足。種苗の注文が全国各地から相次いだが、昭和30年代ごろから果樹栽培へ移行する農家が増え、現在では自家用には作られているものの出荷している農家は1軒のみという。
この現状を知ったシニア野菜ソムリエの太田奈穂さんが、「大切な食の財産を廃れさせてはいけない。沼目越瓜を信州の漬物文化とともに次世代につなげていきたい」と、地元農家に呼び掛け、賛同者と会を発足させた。
地区内にある遊休農地8aを借り、6月に種まき、7月には生育を良くするための摘心やわらまき作業を行った。収穫は7月中旬から始まり、台風の影響などで当初の見込みより収量は落ちたが、200本以上をかす漬け用に漬け込んだ。
田中会長は「1年目にしてはここまでできて上出来だが、継続して生産ができるように会員を増やしたい。多くの人に『作って売りたい』と思ってもらえるようにするのが夢。知名度を上げ、全国に広めたい」。太田さんは「漬物としての魅力を発信しながら、野菜ソムリエとして、漬物以外の調理方法も開発できれば。今年学んだことを生かして、来年以降も栽培していきたい」と話している。
須高地区で信州の伝統野菜に選定されている4種類のうち、沼目越瓜以外の「八町きゅうり」「村山早生牛蒡(ゴボウ)」(ともに須坂市)、「小布施丸なす」(小布施町)は伝承地栽培認定を受けている。
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