身体表現で「ハイパー能」演じる〜須坂市屋部町の北島千夏子さん

2013-09-21 07:00 am by 須坂新聞

趣味・生活 icon 身体表現の北島千夏子さん(38、須坂市屋部町)は14、15日、松本市と大町市の劇場でハイパー能「弱法師(よろぼし)」を演じた。室町時代の能役者・能作者観世元雅(?〜1432)の同名作品を北島さん(踊り)と奥村和子さん(語り)鏑木章裕さん(サウンド)が現代解釈した3人脚本作品。死期が近い俊徳丸が内面に極楽浄土を見つけ悟る。どんな時代にあっても幸せは心の中にあることを約30分の舞台で伝えた。
 物語は室町から現代を越え、近未来社会へ。格差が広がり、街には路上生活者があふれ、死者の、人としての尊厳が守られない扱いが横行する。「こちら○○サービスです」「けさも一人子供です。後をお願いします」。衰弱する俊徳丸が最期に見たものは…。
 北島さんは公演後の取材に「人々は自らの外見や周りの人・ものを替えて幸せになろうとするが、無明(むみょう)の闇にさまようだけ。死の間際に立つ弱法師が太陽の光を見て初めて気づく。内に極楽浄土を見、幸せは心の中にあると。演技を通じて訴えたかった」と話す。
 須坂東高在学中に1年間、長野市の演劇実験室「カフェシアター」(中沢清団長)に入団して身体表現の基本を教わった。卒業後、NIPAF(日本インターナショナルパフォーマンスアートフェスティバル)のスタッフで活動。スペイン人アーティストと出会い、美術芸術留学で4年間、スペインに渡り、パフォーマンスアートを学び、同国内のフェスティバルに出演。23歳で帰国。京都精華大学人文学部を卒業した。
 日本舞踊を藤間千洋師に習い、コンテンポラリーダンスはスペインで、和太鼓とアフリカンダンスは県内で学び、経験を作品づくりに生かす。また、国内やスペイン、韓国に招かれて踊り、詩の朗読や楽器演奏とのコラボレーションなどで表現の幅を広げている。
 3年前に郷里須坂に戻り、現在は介護士として市内の福祉施設に勤務する。
 ハイパー能「弱法師」は10月13日午後1時から松本会場(ヴィオ・パーク劇場)と11月4日の長野市松代・文武学校が決まっている。
 「芸術鑑賞は世代や性別に左右されずに誰でも自らの人生とは別の世界が体験でき、旅に似ている。若い人だけでなく高齢者にも物見遊山してほしい」

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