動物園51年でD51を修繕〜市民もファンクラブ発足へ

2013-07-13 07:00 am by 須坂新聞

お知らせ icon 須坂市は、臥竜公園(市動物園内)に保存・展示している蒸気機関車(D51-401号)の一層の活用を図るため、動物園開園51周年に合わせて車両の塗装、研磨など一部修繕を7月末までの工期で行っている。また、10月14日の鉄道記念日に合わせて市民ボランティアが「D51ファンクラブ(仮称)」を発足する予定で、広く会員募集を始める。
 旧日本国有鉄道の近代化に伴い廃車となった蒸気機関車のうち178両は、全国の公共施設や公園などに保存され、県内でも20カ所にある。須坂市に国鉄線はなかったが、当時の長野鉄道管理局関係者の働きかけで「青少年が科学に興味を持つきっかけに」と、40年前の昭和48年、D51-401号が須坂市に無償貸与された。同時に、専門知識を持つ地元の国鉄OBらが「D51愛護会」を結成し、ペンキの塗り替えなどで外観を管理してきた。しかし当時30人ほどいた愛護会は高齢化が進み、7年ほど前に解散した。
 ファンクラブ設立の準備を進めるのは、機関車の絵本の翻訳を手掛ける文平玲子さん(須坂市北原町)。仕事柄、機関車に愛着があり、動物園の入り口で静かに老いていくD51に寂しさを覚えていたという。第一線で活躍した本物の機関車を有効利用し、子どもたちにとっての学びと遊びの場にできないか―と、D51愛護会の元メンバーらに意見を聞くなどして、ボランティアでできる事を考えてきた。
 市公園管理事務所は今年、動物園51周年の語呂に合わせ、かねて懸案だったD51の修繕を計画。市は塗装業者による修繕、説明板制作、パンフレット印刷などで約185万円を予算に計上した。丸田勉所長は「ボランティアの力で貴重な蒸気機関車を守っていくのは素晴らしいこと。今後はさまざまなイベントや教材として活用していければ」と話す。市は平成22年に、機関車の運転席周辺を見学できる渡り橋を取り付けている。
 国鉄OBで元愛護会メンバーの増田重昌さん(須坂市北原町、76)は「日本を背負って立ってきたD51のことを少しでも子どもたちに知ってもらえればうれしい」。また文平さんは「線路がなく、動くこともできないこのD51にはもう帰る場所がない。ベテランの先輩方に教えてもらいながら大切に守り、子どもたちに伝えていきたい」と話す。
 ファンクラブ会長には増田さんが就く予定。入会の問い合わせは公園管理事務所☎026-245-1770。
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 D51-401号は、昭和15年2月に、日本車両株式会社により、D51形式では401番目に製造された。東北本線、磐越西線などのほか、県内では中央西線、篠ノ井線で親しまれた。走行距離は277万km。

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