須坂市社協〜岩手県大槌町社協職員招く

2012-07-15 07:00 am by 須坂新聞

お知らせ icon 須坂市社会福祉協議会は6日、4回シリーズで企画した災害ボランティア講座の1回目として、岩手県大槌町社会福祉協議会ボランティアセンター職員の渡辺賢也さんを招いて、講演会「あの震災から1年〜現状とこれからの新しい出発へ」を開いた。渡辺さんは「被災地を忘れず、心の支援を継続してお願いしたい」と呼び掛けた。講演会には小布施町と高山村の社協からも参加、約110人が熱心に聞いた。
 大槌町は沖にひょっこりひょうたん島が浮かぶ漁業の町で、以前は約16,000人が暮らしていた。
 震災当時、私は社協職員として福祉の多機能施設で働いていた。激しい揺れが収まらず、利用者を引きづりながら、高台にあったデイサービスへ避難した。当初津波は2〜3mとの情報で、安心感もあり、いろいろな場面を写真撮影した。局長、総務課長に車での避難を誘われたが断った。2人は津波に流されて亡くなり、人生の分かれ目を感じた。
 津波はさらに高く押し寄せ、もっと高台を目指して、見知らぬお年寄りを背負って逃げた。腰まで水に浸かった。下の方で助けを求める声があり、できる限り多くの人を助けるようにした。人に上着を貸して半袖となり、夜は寒さに震えた。
 1週間は何も食べなかったが、避難所で震える人をさすったりして温めた。高台から見た町は火事で一面焼け野原。役場は機能せず、自衛隊や警察の活動は心強かった。
 半壊した地域を一軒一軒回り、困ったら連絡を―とのチラシを配った。ボランティアセンターでは延べ57,000人以上を受け入れた。活動は炊き出しやがれきの撤去、家屋の泥だし、傾聴などさまざま。海水浴ができるようにと人海戦術で海岸を清掃した。道路は大分整備されてきたが、がれきの山は片付かない。
 昨年夏に2,100戸の仮設住宅が完成。多くの人は元気だが、身内を失った人の悲しみは深い。親を亡くした子らは気丈にしているが、中年男性は孤立。また、在宅の人に支援がないため、仮設住宅の人との待遇の違いなどの問題がある。
 物資は大分届いたし、多くの人は義援金などの蓄えもあると思う。物資は自立の妨げになる面があり、たとえば傾聴や文通など心の支援が必要と感じるし、被災地を忘れないことが大事だと思う。
 私は紙一重で生き延びた。ただ普通に暮らせばいいと思っていたが、今後は復興のため全力を尽くす決意でいる。全てを前進の糧として、若い世代が住んで良かったといえる町にしたい。
   ◇  ◇
 なお、災害ボランティア講座の2回目は7月27〜30日に岩手県大槌町で海岸清掃などを実施。3回目は8月26日に開く須坂市総合防災訓練に参加、4回目は9月1日に市社協2階会議室で中部電力出前講座を受講する。

2012-07-15 07:00 am by 須坂新聞 - 0 コメント



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