ありがとう さようなら 屋代線〜沿線住民ら感謝と別れ

2012-04-07 07:00 am by 須坂新聞

お知らせ icon 長野電鉄屋代線(千曲市・屋代駅〜須坂駅)は31日、最終運行を終えて廃止となった。沿線の各駅では住民によるさよならイベントが行われ、90年間、地域の足として活躍した鉄路に感謝し、別れを惜しんだ。一方で、一連の屋代線問題を通して、住民の中に地域活性化の機運も芽生えた。
 綿内駅は式典が行われた午前中、強い風雨にもかかわらず、大勢が詰めかけて、列車や木造の駅舎などをカメラやビデオに収めていた。臨時列車が到着するとホームは人であふれかえり、電車に乗車して懐かしむ年配者や、家族連れの姿も多くみられた。若穂中学生の吹奏楽演奏や住民がみこしを練り歩き、にぎやかに見送った。
 小山富江さん(75、長野市若穂)は「あって当たり前のものだった。なくなるなんて思いもしなかった。これから屋代線のない不便さや、寂しさを感じるのかな」と悲しんだ。
 井上駅では、100人近い住民が午後3時半すぎの電車を出迎えた。ホームに並んで「ありがとう屋代線」「たくさんの思い出をありがとう」などと書いた横断幕を掲げ、幸神会が神楽を舞った。
 滝沢敏徒さん(68、須坂市幸高町)は「最近は乗る機会がほとんどなかった。もう少し乗っていれば、こんなことにならなかったので残念」と話した。
 若穂地区は、綿内駅前のスーパー撤退の際に地域として働きかけができなかった反省から、屋代線の経営難が表面化するといち早く存続運動を開始した。住民自治協議会を中心に乗車イベントや集会の開催、利用促進の呼びかけなどを行った。
 廃止決定後も代替バスの在り方や、跡地利用を積極的に協議し、地域を挙げてさよならイベントを開くなどしてきた。
 ありがとう屋代線わかほ実行委員会の前角貞夫委員長は「スーパーに続いて、屋代線もなくなり〝しょうがない〟ではいけない。地域の衰退は住民一人ひとりの責任。何をすべきか考えなければ。今回のファイナルイベントを地域再生のスタートにしたい」。
 若穂地区住民自治協議会の星沢重幸会長は「跡地問題をプラスに考えて、地域の発展につなげなければいけない」と力を込めた。
 井上駅のある幸高町でも住民が24日に乗車イベントを開き、31日も多くの人が見送りに足を運んだ。
 幸神会の松沢秀式会長は「井上駅があったから今回、地域がまとまってイベントができた。今後もまとまってバスの利用促進や地域活性化ができれば」と話した。

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