2012-03-03 08:54 am by 須坂新聞
オリオン機械(須坂市幸高、太田哲郎社長)が開発し、平成20年から販売する「省エネ型精密空調装置」は、一般財団法人機械振興協会が主催する第9回新機械振興賞で経産大臣賞に次ぐ「中小企業庁長官賞」に輝いた。先月24日、東京・機械振興会館で表彰された。推薦は長野県工業会。同製品は平成21年度日本機械工業連合会主催「優秀省エネ機器表彰」の連合会長賞に続く。
電子デバイスや精密加工機械では、より高精度に制御された温度下での生産が要求される。冷凍機とヒーターを用いる従来の温度制御では、消費電力が大きくなるが、これを解決するため同社はヒートポンプバランス制御による省エネ型精密空調装置を開発した。
1台の空調機で冷房と暖房を同時に運転・制御するイメージというヒートポンプバランス制御(ヒータレス、ヒートポンプバランスは同社登録商標)は、冷凍サイクル装置に冷媒圧縮機の吐出側に配した電子制御バルブを備えた分配手段によって、加熱流路と冷却流路とを流れる熱媒体の分配比率を変更する。これにより、流体の加熱量と冷却量を調整できるため、高精度の温度調整が可能に。
また、インバーターによる冷媒圧縮機の回転数制御も行った。
さらに冷却流路の凝縮器で放熱した熱エネルギーを加熱流路のヒートポンプ手段で吸熱して圧縮機に戻すため、冷凍サイクル能力が高くなり、この分を加熱流路に供給でき、広範囲の温度調整が可能となった。
従来の冷凍機とヒーターを用いた温調制御方式に比べ、73%の省エネ効果を得、軽負荷時には最大80%の省エネ化を実現した。
同社は取材に「平成20年の発売以降、省エネ技術が高く評価されている。社会貢献もしている。特許技術の知的財産戦略と技術戦略の融合の成果を販売増加に結びつけたい」と話す。
受賞は機械工業関係団体や地方公共団体、国公立試験研究機関、学会などから推薦された19件の業績を審査し、4件を選んだ。
推薦の条件には特許取得があり、同社は精密空調機PAPシリーズで平成18年の研究段階から現在まで60の特許出願を数える。「社内で年間100件ほど特許出願するが、ラインナップを増強するこの製品は開発者の意気込みも強く、極めて多い件数」と話す。
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