【最終処分場候補地】専門的見地から地すべりを否定〜市が回答

2011-10-01 07:00 am by 須坂新聞

政治・経済 icon 長野広域連合が須坂市仁礼町(旧土取り場)を建設候補地に地元区と協議を続ける一般廃棄物最終処分場について、須坂ごみ問題を考える会(越満、斎藤稔、山口長志共同代表)が8月25日に提出した3回目の公開質問書(4項目)に市は9月20日付で回答した。
 回答の前文で市は、「質問書における貴会の主張は、(講師の名誉教授)の説明全体の論旨ではなく、ごく一部を捉えてのもので極めて遺憾。本市として受け入れることはできない」とした。
 また、「質問前文についての考え方」として「講師の指導は、旧土取り場内の踏査による現況確認と、3カ所のボーリング調査と結果から得られる専門的見地からの助言。要綱により概定等された、地すべり危険地、山腹崩壊危険個所についての詳細な分析をお願いしたものではない。講師の説明はここの地域は概定されるような地域ではないという所見から、法に基づかない、要綱に基づく概定等の性格に関する見解を述べられたもの」とした。
 質問の要旨と回答は次の通り。
【質問1】(講師の追加調査結果報告会での発言に触れ)講師以外の地質・土砂災害の専門家による分析が必要と思うが、市長はどうお考えか。
《回答1》講師は報告会において、住民に分かり易いように専門用語をなるべく使わず解説されたものと理解している。講師は土砂災害の研究に長年専門的に関わってこられ、他の人に調査結果の分析をお願いすることは考えていない。
【質問2】追加調査結果報告会(3回)で講師に支払った金額は。長野広域連合が支払った場合でも、候補地選定の責任が須坂市、高山村にある以上、市長からお答えを。
《回答2》本市と信大との包括連携協定に基づき、報告会1回につき15,000円をお支払いしている。
【質問3】(追加調査結果報告書の柱状図から指摘し)地中深くのマサ(風化した岩石)や粘土層、発達したクラック(亀裂)と豊富な地下水、さらに各所にみられる法枠の空隙(くうげき)・表層崩壊などの現象をみると、深層崩壊を含む土砂災害の危険性が危惧される。
 候補地は自然災害の危険性のない場所を選定すべきと考えるが、今回のボーリング調査結果について、須坂市として科学的な分析評価を行っていたのであれば、その結果と評価方法を、また、分析評価をしていない場合はその理由を。
《回答3》ボーリング調査は長野広域連合が実施した。本市として専門的見地から結果を分析いただくため、講師の名誉教授に依頼し報告会でも解説をお願いした。結果は、報告会で講師が普通にわれわれが理解している地すべりは、こういう扇状地堆積物の中で起こるようなものではないと解説された通り。
 なお、昭和56年に宇原川上流部で起きた深層崩壊は、別所層泥岩や湖沼堆積物の上部の黒色凝灰角礫(かくれき)岩と厚い安山岩溶岩が重なる地層なので旧土取り場の地層は深層崩壊の起こった地層とは違っている。
【質問4】4月23日に仁礼町区役員・組幹事・検討委員会対象で行われた、日本工業大学教授小野雄策氏(長野広域連合ごみ処理施設整備計画等専門委員)の勉強会の内容は公開されていない。たとえ行政側に不利な意見でも、専門家の意見をすべて公開し、公平な判断ができるよう配慮すべき。公表しない理由は。
《回答4》本勉強会は仁礼区役員、組幹事、検討委員会の要望により実施したが、当日の資料、説明内容は非公開ではない。

 須坂ごみ問題を考える会の事務局は9月28日の取材に「市の回答内容を十分検討した上で今後対応したい」と応えた。
 なお、市は今回の追加調査結果報告書(長野広域連合最終処分場基礎調査等業務委託地質調査結果報告書)を市役所3階のエコパーク推進課で公開している。

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