須坂市〜歴史的建物活用へ検討委設置

2011-07-24 07:00 am by 須坂新聞

お知らせ icon 須坂市は、20年前の調査から現存数が半減する市内の歴史的建物を活用して残す方策など考えるため先ごろ、20人の委員を委嘱して「歴史的建物維持保存活用検討委員会」を設置した。空いている大壁造りの町家や土蔵等の活用策、貸し借りしやすい仕組みづくり、補助金創設など来年2月までに取りまとめる。来年度は補助対象建物の選定等必要に応じて開く計画だ。
 委員長に土本俊和信大工学部建築学科教授を、副委員長に青木広安市文化財審議委員を選んだ。
 市は日本ナショナルトラスト(観光資源保護財団)に依頼し、また文化庁の補助を受けて、昭和63年から平成3年にかけて伝統的建造物群保存対策調査等を実施した。
 昨年、対象建築物の現況確認調査を実施した。市内375棟のうち200棟が現存(現存率53.3%)。市街地は347棟のうち181棟(同52.2%)。郊外は28棟のうち19棟(同67.9%)。現存率が高い町は、市街地では新町70%、常盤町63%。郊外では福島町76%、井上町75%、仁礼町50%。
 一方、平成7年度から21年度に実施した街なみ環境整備事業で補助金が交付され、現況確認調査対象のうち60棟が修理され、1棟は取り壊されていた。
 現存200棟のうち空き家は43棟で21.5%。
 建物が取り壊された理由として、一般に比べ補修に多額の費用がかかる▽間取りが生活様式に合わない―などが挙げられた。
 委員からは「歴史的建物は須坂のまちを俯瞰(ふかん)的に見て残す価値や意義まで踏み込んだ検討が必要」「須坂の町並み保存運動は県内でも注目されたが、商店を巻き込めなかったことが残念。だが、アンケートで町に対する愛着の気持ちがあるとの結果に安堵(あんど)した」「首長が代わっても市としての一体化が大事。農商工観の連携と広範囲に手をつなぐ市民合意、グランドデザインがほしい」「空き家バンクと国際交流の他市の事例も参考になる」「台所やトイレなど水回りの使い勝手がいいようにできないか」「取り壊される前に情報収集も大事」と自由な発言が出された。
 蔵の町並み景観を生かしたまちづくりを進める市は今後、後世に残す方策と維持保存活用策を詰めていく。

2011-07-24 07:00 am by 須坂新聞 - 0 コメント



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