東北から回ってきた仕事「売り上げを返す」〜相崎電機

2011-05-21 07:00 am by 須坂新聞

工業・商業 icon 須坂市境沢町の相崎電機製作所は、震災でいくつかの仕事が東北地方から回ってきたことを受け、4月から毎月の売り上げの1%を復興支援団体「日本笑顔プロジェクト」(小布施町)に寄付し、会社として人や資金を出して被災地支援に乗り出している。1カ月の売り上げの1%は30万円前後になるという。
 池田英平社長(34)が従業員39人に提案し、従業員から「被災者の代わりに仕事をしているので売り上げを返すのは当然」と言われ、支援を決めた。
 同社は通信用プラグ・ジャックの完成品メーカーで、各種精密機械の加工も手掛け、金属の切削技術を持つ。震災後、東北から半導体装置部品の製造依頼が回ってきた。「量は少ないが、安定調達を求める顧客から、今後も定期的に東北関係の仕事が入る見通し」という。
 池田社長は「社内で支援物資や義援金を募り、日本赤十字を通して送ったが、単発で終わらせたくなかった。会社としてかかわることで、支援活動が安定的に継続されればうれしい」と話す。
 日本笑顔プロジェクトは小布施町雁田の浄光寺副住職・林映寿さん(34)らが3月に発足。池田社長と林さんは小布施の小中学校時代の同級生。地元で動き出した被災地支援活動の趣旨に賛同し、支援を申し出た。
 プロジェクトは支援の手薄な平日の16日に2回目の東北支援を行った。相崎電機も3人が参加し、宮城県女川町の避難所ですいとんやいなり寿司、クレープを作って振る舞い、支援物資を置いてきた。参加できない女性社員は自宅で「笑顔クッキー」を1,200個焼いた。被災者に直接届く活動が魅力となっている。
 池田さんが社長に就いたのは2005年。2008年のリーマンショック以降、業績が落ち、従業員を休ませる状態になり、会社の存在価値を考え直した。「社員一人ひとりが成長して社会の役に立つ人になっていることの大切さを痛感した。地域や人の役に立てる会社になりたい、という気持ちが支援活動の原点」という。
 リーマンショック後に企業理念を「みんなを喜ばせよう」と定めた。「売り上げはリーマンショック以前に回復したが、仕事の中身もいままでと全然違う。今は相崎さんにお願いしたい、という注文が増えている」と話す。

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