【長電屋代線廃止へ】活性化協でバス代替運転を採決

2011-02-05 07:00 am by 須坂新聞

お知らせ icon 経営難にある長野電鉄屋代線の活性化などを考える長野電鉄活性化協議会(会長・酒井登長野市副市長、委員27人)は2日、屋代線を廃止してバス運行に転換することを決めた。今後の運営形態を検討する中で、事務局側からバス代替運行が優位とする分析結果が示され、活性化事業の継続を望む住民側との間で意見がまとまらなかったことから多数決で採決した。同協議会は屋代線活性化のための総合連携計画を策定し、3年計画で今年度から各種事業を始めたばかり。1年経たずしての結論となった。
 これまでに今後の運営形態として(1)総合連携計画を見直し、実証実験を継続(2)屋代線を一時休止してバス代替運行(3)屋代線を廃止してバス運行に転換―の3案が示されていた。
採決は会長を除く委員26人による無記名投票で行われ、(1)11票(3)14票、白票1票だった。
 副会長の笠原甲一長野電鉄社長は「協議会に結論を委ねたので、この決定がすべて」。
 一方で屋代線利用の住民運動に取り組み、活性化事業の継続を求めていた若穂地区住民自治協議会長の星沢重幸委員は「どうしたら存続できるかという議論がなかった。なぜこんなに簡単に廃止になるのか」と疑問を投げかけた。須坂市観光協会長の駒津健一委員は「須坂駅は起点で、観光面などからも存続の思いはあったが残念。将来的な数字が見通せず、理解が得られなかった」と話した。
 廃止の時期は未定だが、同協議会の同意を得た上で長電が国へ廃止届を提出する。笠原社長は「早急にバス路線を決め、ある程度決まったところで廃止届を出す」としている。正式に廃止されるのは原則として届け出の半年か1年後という。バス運行の開始時期や路線などは今後、同協議会で話し合う。
 屋代線は乗客の減少により、毎年1億円を超える赤字が続き、累積赤字も50億円を超えるなど単独での経営は困難とし、2009年に沿線3市や住民、長電などでつくる活性化協議会を設立。総合連携計画を策定し、昨年は7月から9月にかけて、増便やサイクルトレインなどの実証実験を実施し、乗客は前年同期比1割増だった。第3セクターや公的支援など新たな運営形態への移行も検討し、費用対効果などの点から事務局側はバス代替運行が優位とする分析結果を示していた。
 若穂や松代の住民代表の委員は「結論を出すのは拙速。住民への浸透はこれから」などとして継続を求めていた一方で、公共交通機関などの委員は存続は困難との見方を示し、行政の委員からは公的支援は難しいとの意見が出ていた。
 今回の屋代線問題では、地域によって取り組みに温度差がみられた。車社会や人口減少時代を迎え、今後は長野線も厳しさを増す。手遅れになる前に事業者、住民、行政が一体となって公共交通の在り方や活性化を考えることが求められる。

2011-02-05 07:00 am by 須坂新聞 - 0 コメント



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