須坂・中野・飯山3市長の「紙上新春座談会」

2011-01-01 07:00 am by 須坂新聞

政治・経済 icon 須坂新聞、北信タイムス(中野市)、北信濃新聞(飯山市)の三紙は昨年暮れ、須坂、中野、飯山三市長の座談会を計画したが、日程が折り合わず、急きょ紙上鼎談(ていだん)に切り替えた。三紙の記者が担当市の市長にインタビューし、まとめた記事を他社に配信して各新聞社が独自に編集した。テーマは「地域の課題」。

 ―須坂以北の千曲川下流域自治体3市の課題や、課題を超えた結びつき強化の方向性を探りたい。
 三木 須坂市の産業活性化はまだ発展途上で、ゴールはないと考えている。農業分野はこれから力を入れてやらなければならない。JA須高にも都市の物産展へ一緒に行ってもらったり、ラジオPRなどで連携を図っている。商工会議所とも連携が取れていて、今後農商工観(観は観光)連携を進めていく。
 産業づくりは人づくりと同じで時間がかかる。須坂の産業のウイークポイントは販売戦略。多くの企業に産業フェアイン善光寺平に出展してもらったり、インターネットを使ってPRする。動画も活用していく。物語性も含めてデザイン力が求められる。 
 江戸時代の漢詩人、柏木如亭(かしわぎじょてい、1763-1819)の『詩本草』(岩波文庫)には「そばは信濃が一番」と記され、その掛け軸が須坂市内のお宅にある。ストーリー展開を考え食文化の創造を図っていくことも大事だ。
 観光自慢では、須坂はさまざまな要素がある。美術館の多いまちとも評され、田園風景もいい。一点豪華主義ではなく、良好な自然環境や文化施設、歴史遺産を有効に結ぶことが須坂市にとってはいいことである。農産物も大事。企画力や結びつける力をより発揮していく。
 3市の個性を生かし独立しながら共通する事業で連携し、「北信州合衆国」のようなつながりができれば。
 小田切 中野市は主産業の農業、商業、工業がそれぞれいい案配にあって、何と言っても自分たちで作って自分たちで食べられる幸せは何物にも代えがたいと思っている。農協も頑張っていい品物をつくり、市と一緒に販売強化を行っている。キノコに関しては年間160億円ぐらいの売り上げがあって、市にとってもありがたいことと思っている。
 まちづくりは、他と比べて中野市が良くなろうと考える必要はない。いかに住みやすいか、そういうまちをつくればいい。他をうらやむこともない。自分たちのまちは自分たちで住みやすいようにつくっていくのが本来のまちづくり。
 中野は善光寺平でいろいろな市町村とつながっている。境は標識だけ。経済圏は岳南、岳北一緒。共存して仲良くやっていこうと思っている。
 新幹線を通して今度は飯山市が音頭をとって広域連携をやらなければならない。足立市長の手腕が楽しみだ。
 足立 須坂市・中野市、そして、飯山市というと、「北信濃ろまん街道」という、稲荷山からかつての谷街道を結ぶ、民間主唱のネットワーク構想があったと、記憶している。
 千曲川の東、いわゆる「河東圏」とも呼ばれた、稲荷山〜松代〜須坂〜小布施〜中野〜飯山だが、長野市を含めた北信4市のお付き合いは古く、行政のみならず、議会や経済界などの連携、文化・芸術面での交流が重ねられてきた。
 当面の接着剤は観光。「蔵のまち」「栗の里」「音楽の里」「雪と寺のまち」。かつてのろまん街道ではないが、周辺の温泉地ともタイアップして、河東路・谷街道を周遊していただくプランはどうだろうか。
 飯山市では昨年、寺町に「高橋まゆみ人形館」がオープンし、開館以来大変な反響をいただいている。
 これは飯山市の喫緊の課題でもあるが、人形館のにぎわいを、行き過ぎた商業主義ではなく、地域経済の活性化に結び付けられればいいと思っている。
(須坂新聞、北信タイムス、北信濃新聞の元旦号合同企画)

2011-01-01 07:00 am by 須坂新聞 - 0 コメント



須坂新聞


 須坂新聞はタブロイド判(20P~24P)で毎週土曜発行(年間48回)長野県須高地域(須坂市・小布施町・高山村・長野市若穂地区)で購読をいただいております。また配達地域外でも郵送にてご購読いただけます。購読料は1100円(月額/税込)です。購読お申し込みはこちらから。