【田中本家博物館】カステラで地域文化発信

2010-08-29 07:00 am by 須坂新聞

観光 icon 田中本家博物館は10数年前から、同家の古文書をヒントに「家主貞良(かすていら)」を販売しているが、製造する老舗菓子店二葉堂(須坂市米持町)が須坂藩の御用達菓子司としてカステラを納めていたことが分かり、須坂の豊かな文化を発信するため、今春から「信州須坂藩江戸家主貞良(かすていら)」と改称した。

 同館は、穀物や菜種油などの商いで江戸時代に栄えた豪商田中本家の屋敷を平成5年に博物館とした。同家に伝わる接待帳簿に茶菓子としてカステラを出している記録が随所にあり、同館は10数年前、須高地区で唯一カステラを作っている二葉堂に製造を依頼。当時の味を想像して甘さを控えめの味に仕上げ、同館オリジナルの「田中本家のかすていら」として販売した。
 二葉堂に伝わる古文書では、創業者長治郎が江戸亀戸で菓子の修行をし、亀戸で屋敷を構えていた須坂藩に菓子を納めていたところ、9代藩主の堀直皓に認められ、須坂藩・御用達菓子司を仰せつかり、「二葉屋」の屋号を賜った。この年を創業年(1804年)とした。
 当時大名は献上品に地元銘菓を用いることが多く、腕のよい職人は重宝された。2代目百助による献上菓子は12代将軍徳川家慶から褒められ、これを機に1853年、屋号を二葉堂に改めた。
 以来、須坂藩の手厚い保護の下、鳴戸巻きやようかんなどレパートリーを広げた。現8代目の清水基弘社長の祖父・4代目文治はカステラに重点を置き、ブランドに高めた。その後拡大路線もあったが、基弘社長は4代目の戦略に戻り、伝統のカステラに「もう一度光を当てる」方針を打ち出している。
 田中宏和館長は「当館の所蔵品や古文書から須坂藩の文化が大変高かったことが分かる。江戸時代、長野県でカステラを作って食べていたのは須坂藩のみ。接待帳から分かる須坂の素晴らしい食文化などを掘り起こし、地域の活性化につなげたい」。清水社長は「わが社は堀家の御用達として始まったが、特に明治以降は須坂の人たちに支えられてきた。地域への感謝を忘れず、200年の歴史の上にさらに皆様に貢献できる企業に成長していきたい」と話している。

2010-08-29 07:00 am by 須坂新聞 - 0 コメント



須坂新聞


 須坂新聞はタブロイド判(20P~24P)で毎週土曜発行(年間48回)長野県須高地域(須坂市・小布施町・高山村・長野市若穂地区)で購読をいただいております。また配達地域外でも郵送にてご購読いただけます。購読料は1100円(月額/税込)です。購読お申し込みはこちらから。