須坂市豊丘の遊休農地で飼育実験するのは?

2010-07-17 07:00 am by 須坂新聞

農業 icon 信州豊丘めん羊飼育協議会(羽生田成一会長)は、JA全農、麻布大学などの協力を得て、須坂市豊丘地区の遊休農地を活用して、羊生産の事業化に向けて実験を開始した。遊休農地に放牧して雑草を食べさせる例は各地にあるが、事業として良質の肉を生産・販売する例は稀という。同事業が成功すれば、全国の耕作放棄地再生のモデル実証地となる。
 放牧地周辺は標高約600m。山間ののどかな農業地帯。傾斜地のため作業能率が悪く、生産物価格の低迷もあって農業後継者が減少。耕作放棄地が拡大、サル、イノシシ、シカ、カラスなど野生鳥獣による作物被害も広がり、景観も悪化。
 そこで地元有志は、豊丘町在住で麻布大学勤務の羽生田登志さんに相談、「地域に活気と誇りを再び取り戻そう」と事業に着手。羽生田登志さんを介して麻布大学や全農と連携が取れた。また、須坂市やJA須高とも協力体制が整った。
 中灰野にある放牧地は面積約1ha。北海道から導入したサフォーク種メス10頭、オス1頭を放牧した。洞入地区でも来年予定、2年後に肉の出荷を目指し、平成30年には約250頭の羊肉出荷を計画する。めん羊の繁殖から子羊生産、肥育までの一貫飼育を地域全体に拡大、付加価値の高い羊肉の安定的な生産基地として、魅力ある地域を目指す。
 ヒツジは温和で比較的小型、牛より飼育が容易で、高齢の畜産農家にも扱いやすい。豊丘地区は家畜の飼育経験があり、取り組みに意欲的な農家が多い。羊肉は流通量が多く、子羊の枝肉は1㎏1,500円以上で売れ、事業として成り立つ可能性があるという。  
 役割分担として、協議会は飼育・牧草管理など、全農と麻布大学は採算性、適性頭数などのデータ取得や大消費地ニーズ把握、再生手引書の作成、飼育技術指導など、市とJA須高は事業助成やイベント協力などを行う。
 日本は明治初期にヒツジを導入。めん羊飼育頭数は昭和32年の94万頭をピークに減少、平成19年に約1万頭となり、現在3万トン以上の羊肉を輸入している。麻布大獣医学部の田中智夫教授は「地場の羊肉はとても美味。実験が成功すれば地域振興につながる。全国の遊休農地に広がれば、羊肉の自給率も上がる」と期待し、羽生田会長は「皆様の協力で事業が広がり感謝。希望ある未来につながれば」と話している。

2010-07-17 07:00 am by 須坂新聞 - 0 コメント



須坂新聞


 須坂新聞はタブロイド判(20P~24P)で毎週土曜発行(年間48回)長野県須高地域(須坂市・小布施町・高山村・長野市若穂地区)で購読をいただいております。また配達地域外でも郵送にてご購読いただけます。購読料は1100円(月額/税込)です。購読お申し込みはこちらから。