「須坂の将来へ」山口産業コーディネーターに聞く

2009-02-01 07:00 am by 須坂新聞

政治・経済 icon 不況下の現在、県内企業の動向や須坂の地域特性を生かした発展策について、山口光彦須坂市産業コーディネータに聞いた。
□記者 全県的に厳しい状況だが。
■山口 県内企業の多くは加工組立型産業で海外の影響を受けやすい。精密・電機・自動車分野に成長を求め、好調に推移してきた南信も影響は大きい。
□記者 好調な分野はあるのか。
■山口 総体に減少する中で好調と言える分野は見当たらない。わずかに船舶用機器や医療機器、特殊ロボットなど比較的大型・中型の機構部品の分野、自動車ではハイブリッド車の関連部品などの受注残に限られている。
□記者 雇用確保も厳しい状況と聞くが。
■山口 企業の財産である技術を有する従業員は企業の生命線。仕事のない時期に従業員を離散させることなくどう耐え抜くか、正念場だ。国は日本を支えるものづくり中小企業や従業員を守ることを真剣に考えてほしい。
□記者 今後どういう分野を目指すべきか。
■山口 家電や携帯電話、従来型の自動車など拡大してきた個人消費市場は今後難しいとの見方が一般的。各国の経済対策も公共投資拡大の方向にあり、港湾や鉄道、エネルギー、医療など公共社会基盤への投資が内需拡大策として大事になる。
 また、低炭素社会実現に向け、CO2を発生しない新エネルギー(太陽光・原子力・風力・地熱発電)への投資も期待されている。都市機能の分野では水道の漏水対策など上下水道の整備、食料分野、社会安全分野も有望とみられている。
□記者 須坂地域の特性を生かした展望は。
■山口 総体に海外の影響を受けやすいが、ものづくりの基盤技術である金型や、切削、プレス、鋳造、メッキ、熱処理、組立、板金など多様な基盤技術が残り、大きな財産だ。
 モジュール化(複合部品)や最終製品としてのシステム化(完成品)へもっていかないと高付加価値型の産業集積にはならない。
 技術を統合し、新しい組み込みシステム技術を加え、社会基盤市場へシステム商品を展開する準備を進める必要がある。金型人材育成や、組み込みソフトコラボも進めている。
 もう一つ大きな産業に育てたいのは、農業の八割を占めるリンゴやブドウなどの果樹産業の高付加価値化。生食主体から加工化など地産地消体制やブランド化の確立へと昨年、信州須坂フルーツ・スイーツ研究会を立ち上げた。
 これからは強力な戦略的マーケティングと経営資源の統合、大学発新技術の導入に力を入れ、優位性が発揮できる製品開発に地域全体で取り組む必要がある。多様な分野で生き残ってきた須坂企業にはその力が十分ある。

2009-02-01 07:00 am by 須坂新聞 - 0 コメント



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