米子に最終処分場、住民に十分な説明を

2006-02-04 12:00 am by 須坂新聞

政治・経済 icon 須高地区最終処分場適地選定委員会(委員長・梅崎健夫信州大学助教授)は30日、須坂市役所で最終の会議を開き、候補地として須坂市米子の2候補地を優位な候補地として選定した―とする委員会の提言と報告をとりまとめた。8日、須坂市長、高山村長に提言書と報告書を提出する。
 報告書は、委員会としては長野広域連合の最終処分場の建設候補地として「須坂市大字米子字アシノ沢を最も優位と判断した候補地、須坂市大字米子字硯原・ネナフリ・老久保を優位と判断した候補地」として選定した―と記し、住民との合意形成、最終処分場から出る浸出水の下水道放流を要望している。
 この中で、住民との合意形成については「最終処分場は、ごみ処理における受け皿としてなくてはならない非常に重要な施設である反面、地域住民の理解と協力が得られ難い施設でもある。建設にあたっては、地域住民の理解と協力を得られるよう、十分な説明が行われるとともに、地域住民の声を聞きながら施設計画が進められることを要望する」と述べている。
 また、下水道の放流について「最終処分場からの浸出水は、浸出水処理施設で処理した後、河川や下水道に放流される」
 「河川に放流される場合は、排水基準を満たした水質まで処理されるため、河川を汚染することはない。しかし、地域住民にとっては、最終処分場が建設されることにより、河川が汚染されるのではないかとの不安は大きい。したがって、農業用水としての水源の保全、住民の不安感の払拭といった観点から、下水道の放流について検討されることを要望する」としている。
 同委員会は、長野広域連合が須高地区(須坂市、高山村)に最終処分場を建設することを決定したことを受け、昨年1月須坂市、高山村で発足。公募の市民・住民、議員、各種団体代表、学識経験者、行政等から20人を委員に委嘱した。技術セミナーや先進地視察等を行い、5月には土地利用状況などを参考に25カ所の候補地を挙げて検討、7月に候補地を7カ所に絞り込み、現地視察や現地確認等の作業、12回の会議を重ねた。また、市と村は地元住民への説明を行った。
 評価の方法は▽自然環境(重要動植物の生育・生息の可能性)▽生活環境(下流の利水状況)▽地盤(周辺の表流水・湧水の可能性)▽同意の可能性▽跡地利用▽概算事業費など九項目をベースに検討した。
 各候補地の評価はA〜Eの5段階評価でランク付けした。これを基に、各委員が示した選定基準の重要度を集計、各評価点と重要度を掛け合わせた得点で総合評価した。 重要度は100点満点の換算で、生活環境の影響16点、自然環境への影響13点、概算事業費10点等とした。29点と最も重要度点が大きかった地元の同意の可能性は、7候補地が所在する全ての地区から異議申立書や意見書等が提出されたため、全候補地を同一ランクで評価した。
 委員会が最も優位と判断した候補地の米子字アシノ沢は、県営米子苗畑から約400メートル北東側の林道大古場線が通過する樹林地。優位と判断した候補地の米子字硯原は、県営米子苗畑を含めた樹林地。委員会で施設配置例として示した資料は▽字アシノ沢の埋め立て面積は約2・4ヘクタール、埋め立て完了後の平場面積約2・4ヘクタール▽字硯原の埋め立て面積は約2・7ヘクタール、埋め立て完了後の平場面積は1・9ヘクタールとしている。
 須高地区に建設する最終処分場は、埋め立て容量18万立方メートル程度、埋め立て期間15年程度。埋め立てる対象は、焼却灰の溶融処理後に出る溶融スラグのうち有効利用(路盤材等土木資材としての利用)できなかったもの、溶融飛灰処理物、その他溶融不適物。長野市に建設する一般廃棄物の焼却施設の稼働に合わせて平成24年度の稼働を目指している。
 また、報告書には異議申立書や意見書、地元説明会に出た質問や意見に対する委員会としての36項目の回答を記載した。委員会で、50%としている溶融スラグの有効利用率を上げるようにとの意見も出た。

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