いじめ根絶へ再出発

2005-09-05 12:00 am by 須坂新聞

お知らせ icon いじめ不登校を共に考える須高の会や前島裁判を支援する会、弁護団、原告前島章良(のりよし)夫妻が27日、市シルキーホールで、6月に和解した裁判の報告会を開いた。約80人が参加した。遺書を残して自ら命を絶った前島優作君(当時13)の8年にわたる真相究明の取り組みを振り返り、いじめ根絶に向けた今後に触れた=写真。
 前島章良さんは「わが子がいじめられ、謝ってほしいと願ったが、冷たさの中で多くの温かさに支えられた。謝罪と、社会の隠ぺい体質を変えたい、あきらめないと頑張っている。もう少し子供たちを救わないと息子の前に来てもらえないと思い頑張っている。苦しみから4人を救うためにも謝罪をと願う。1人でも多くの子供を救うことが大切で、開かれた学校、いじめ根絶を2年半の任期中に県教委で頑張りたい。長い間ありがとうございました」と述べた。
 和解内容の説明で大門嗣二弁護士は「文部省がいじめの定義を事件の前に改定し、学校が認知するかではなく、いじめと認めるようにしたにもかかわらず、いじめによる死を認めない学校・教委に対して裁判で取り組んだ。4年にわたる審理で明らかになった真実を基に1年半を要して和解した。原告、被告双方の気持ちにこたえることができた。和解第5項のいじめ根絶は、市民の皆さんにかかっている。死を無駄にしない取り組みを努力し強めて」と述べた。
 瀬良和征前県教育長は「真実を知りたい親とすれば、決して満足する内容ではないと思う。悪いことは認め、謝ることから出発しないと心の通った教育はできない。みんなで子供を育てることが大事で、立場の違いで憎み合うのは、自由な人間性を持たされていないから。人を愛せる、仲良くできる、家庭や社会でありたいが、人間関係の根本が崩れ、社会のあり方を変える必要がある。和解は出発点」と述べた。
 参加者は「人に命を奪われ自死に追い込まれる場合は真実を知らなければ前へ進めない」「子供も教師も人権が守られる社会への途上だ」「今学校はだれが見てもいいように教室の戸は開いている。何かあると学年で相談し、全校で考えるなど変わりはじめている」と感想を語った。
 須高の会の小林正洋代表は「優作君のクラス会が持てることを願い、和解を大事に、どう発展させ、自分たちのものにするかが課題。ここでピリオドを打ち、新しい教育づくりの一歩を踏み出したい」と述べた。

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