特産品創出へ ヤーコン焼酎、八町キュウリ

2005-08-07 12:00 am by 須坂新聞

農業 icon 地域に誇りと活気を―。須高各地で住民が知恵を絞り協力して、活性化と特産品の創出に向けてさまざまな取り組みを進めている。

 須坂市東地区などの農家でつくる「須坂ヤーコン研究会」(羽生田郁雄会長、会員約50人)が昨年栽培した南米原産の根菜ヤーコンを原料に、佐久市の佐久芙蓉酒造に醸造を委託していた「信州須坂ヤーコン焼酎」が完成した。7月28日には須坂商工会議所に三木正夫市長ら関係者を招いて発表会を開いた。アルコール度数25度。720ミリリットルで定価1,200円。
 焼酎はヤーコンの加工品としてジュースに続く第二弾。会員が栽培した1トンを使って3,000本を生産した。フルーティーな香りとまろやかで甘めの飲み口が特徴だ。付加価値と、観光客の呼び込みなどを狙い、市内の酒店でのみ販売する。
 発表会で羽生田会長は「どうすればヤーコンを皆さんに知ってもらえるか考え、加工品として焼酎を作った。多くの人に飲んでもらいたい。特産品として定着し、市の発展にもつながり、農業に明るい兆しが見えれば」とあいさつ。三木市長は「ヤーコンは健康に良く、味もいい。農業、商業、観光が提携した素晴らしい企画。農業、農村振興のモデルとなれば」と期待した。
 試飲した出席者は「くせがなくて女性でも飲みやすい。どんな料理にでも合いそう。お土産にしても喜ばれそう」と話していた。
 ヤーコンは南米アンデス原産のキク科の植物。茎や葉、塊根(イモ)がすべて食用となり、オリゴ糖やポリフェノールを大量に含有し、便秘・高脂血症を改善するほか、血糖値を抑え、動脈硬化・老化・がんなどの発症を抑制する働きを持つ。健康野菜として注目されている。
 同会は昨年3月に発足し、有害鳥獣や遊休農地対策として75ア−ルでヤーコンを栽培、約20トンを収穫した。そのうち、2トンでジュース(720ミリリットル、650円)、1トンで焼酎を製造した。問い合わせは市内の酒店へ。

 一方、伝統野菜八町キュウリの復活と現代版の創出、特産化に取り組む「八町きゅうり研究会」(神林啓助会長)はこのほど、JA須高高甫支所で品評会を開いた。会員など約50人が、五月に配布した八町キュウリとされる7種類の苗で試験栽培したものを持ち寄って味などを比較し、8種類を並べて試食し、アンケートに記入。▽味・食感▽長さ▽太さ▽果色▽ブルーム▽総合評価―の6項目でそれぞれ順位と一番に選んだ理由を答えた。
 その結果、形がやや太めのAが最も高い評価を集め、▽甘みがある▽歯ごたえがいい▽みずみずしい▽青臭くない―などの理由が上がった。
 地元の主婦は「一つひとつ味や果肉の厚さなど違っているので一つに絞るのは難しい。個人の好みや食べ方、調理方法によっても変わる」。一方、生産者からは「収穫量や、栽培にかかる手間ひまも関わってくるので、味とのバランスなどをみながら誇りを持って作れるものになれば」などといった声が聞かれた。
 合わせて、「須坂地域食文化研究会」が八町キュウリを使って調理した料理15点も並べられた。神林会長は「それぞれの立場からいろんな意見を出してもらい、今後の方向性を見極めていきたい」と話した。
 八町キュウリは、長年にわたる自家採種の繰り返しなどにより本来の特性が変異、多様化し、種類がはっきりしないことから、現代に合った新たな統一品種を生み出そうと同会が発足。呼び掛けに応じた高甫地区を中心とする約150戸に7種類約1,200本の苗を配布して栽培、研究に取り組んでいる。
 今後はアンケートなどを基に話し合いを行い、品種を絞り込む。

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