信大・富士通・須坂市の企業が共同研究-「ユビキタス社会」対応の無線システム用部品

2005-07-18 07:00 am by 須坂新聞

工業・商業 icon ブロードバンドやモバイル技術などで、どこでも誰でもが生活の中で複雑な操作をしなくても情報通信技術を活用できる「ユビキタス社会」に対応した無線デバイス用の高機能電圧結晶基板の開発が、経済産業省の委託研究開発事業に採択され、実用化・事業化に向けて信州大学、須坂市内の企業、富士通メディアデバイス(株)、須坂市等の産学官交流で進められることになった。
 15日、信州大学・長野高専等で設立した管理法人の信州TLO、干川圭吾信州大学教授、須坂市米持と松川林間工業団地等に工場をもつカイシンエレクトロニクス(株)(本社長野市)、(有)後島精工(須坂市旭ケ丘工業団地)、富士通メディアデバイス(本社横浜市、富士通須坂工場内に須坂工場をもつ富士通メディアデバイスプロダクツ(株)の親会社)、須坂市が信州大学工学部内で記者会見し、経済産業省の委託研究開発「地域新生コンソーシアム(共同体)研究開発事業」に採択されたと発表した。
 研究開発は、ユビキタス社会で待望される大容量無線通信の超ブロードバンド無線システムに対応する新たなSAW(ソー)フィルター(雑音をカットするために必要な信号を取り出すための電子部品)の実用・事業化に向けての共同研究。
 信州大学の干川教授が総括研究代表者、カイシンエレクトロニクスの松林吉一取締役第二製造部長が副総括研究代表者になり、信州大学が新たなフィルターのウエハー材料となるニオブ酸カリウム(KN)の結晶成長技術、県工業技術総合センターがその評価要素技術、カイシンエレクトロニクスが大型KN単結晶成長技術、後島精工が結晶基板加工技術、SAWフィルター開発製造技術をもつ富士通メディアデバイスがフィルター設計要素技術の研究開発にあたる。
 またカイシンエレクトロニクスは単結晶育成、後島精工はウエハー製造、富士通メディアデバイスプロダクツは部品製造の事業化を研究する。
 須坂市は、企業城下町型産業構造からの脱皮を目指し、信州大学と連携協定を結び、産業コーディネータや産業アドバイザーを配置、工業課を設置するなどして、産学官交流を推進している。この共同研究・事業化が進めば、2011年には年間200億円の圧電単結晶事業と1080人の雇用の創出、ナノ加工など新加工技術の誘引が期待できる―としている。
 三木正夫須坂市長は「産業コーディネータ・アドバイザーが、自律発展的な地域産業の育成を目指して取り組んでいる初の成果として期待したい」と語っている。

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