悲しみ教訓に根絶へ

2005-06-11 12:11 am by 須坂新聞

学校・教育 icon 97年1月7日夜、遺書を残して自宅で命を絶った当時常盤中1年に在籍していた前島優作君の両親が、教育活動中のいじめに気付かず、学習権を保障する義務の履行を怠ったとして、須坂市に約8,600万円の損害賠償を求めた訴訟で3日、和解が成立した。
 長野地裁の辻次郎裁判長は「当裁判所が和解を勧告し、当事者双方が受け入れ、合意に至った」と8項目の和解条項を読み上げた。「この中の遺憾の意味は思い通りにいかない、残念の意で責任を認めることではない。事件から8年以上、提訴から5年余が経過し、長期間かかってしまった。前向きな解決をと和解に努力し、よかったと思っている。感謝とお礼を申し上げる」と述べた。
 閉廷後、須坂市教委の宮本経祥教育長は「大変痛ましく悲しい出来事と哀悼の意を表する。請求を放棄され、和解が進んだ。いじめ根絶に向けた取り組みを今後進めていきたい」と述べた。
 県弁護士会館で記者会見した優作君の父前島章良さん(写真)は「今やっと後ろを振り返ることができる。1月7日は火曜だった。お父さん、助けてやれなくてごめんね…。生涯反省の日々と思っているが、息子の死を無駄にしたくないと立ち上がり、支援の方々に助けられた。息子を亡くして多くの大切な人と巡り合った。和解を次に生かしたい。遺族をこれ以上つくらないためにも今の職(県こども支援課長)で一人でも笑顔を取り戻すことができるよう頑張っていきたい」と述べた。
 弁護団は「現制度下では損害賠償請求しかできない。真実を明らかにと提訴し、いじめ根絶の礎となる和解に取り組んだ。裁判の中で人間的な教師の証言を聞き、教育に対する思いをくみ取ることができた。加害者、傍観者指導は積み残された。原告は子供の人権にかかわる仕事をしているので期待する。裁判所に敬意を表し、諸団体に感謝したい」と述べた。

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