漫画『キセキのヒロシマ』原作者が須坂市に平和学習にと22冊贈る〜カンナの取り組みが縁

2020-07-11 07:00 am by 須坂新聞

お知らせ icon 漫画『キセキのヒロシマ』原作者、多田多延子さん(一般社団法人ピースピースプロジェクト代表理事、広島市)は先ごろ、須坂市役所を訪れ、出版した22冊を市に贈った。同書には原爆投下当時、カンナの花に勇気づけられ、前を向く多田さんの曽祖母や広島の女性たちの姿が描かれているという。市は「平和をつなぐ花」カンナを次世代に伝えようと植栽活動を展開している。多田さんは「一緒に平和活動ができれば」と期待した。
 多田さんの須坂来訪のきっかけは、峰の原高原でペンションを営むたじま加代子さんとの出会いに始まる。経営者の勉強会(東京)で知り合ったという。
 多田さんから同書を贈られ、カンナの場面が目に留まったたじまさんは、「カンナ・プロジェクト」(橘凛保さん主宰、東京)が世界中の人の心に平和と希望の花を咲かせようと、株分けして増やした球根を各地で育て、平和と希望のバトンをつなぐ活動を続けていて須坂市が協力していることを紹介した。
 たじまさんは、出身地山口県萩市の思想家吉田松陰の教えから、「書物の中にはメッセージが込められ、そのメッセージを探す習慣がついていて、カンナはまさにメッセージだと思った」という。
 多田さんは1968年、広島市生まれ。環境コンサルタントを中心とする会社を営む。
未来を信じて広島の復興に尽力した曽祖母らの姿を子どもたちに伝えたい―と戦後70年(2015年)を機に同書を出版した。
 壊滅的な状況の中でも前を向き、希望を持ち続け、困難を乗り越えた歴史的事実と、被爆都市の憎しみではなく、恕(ゆる)す心を慈しみ、敬いあうが底流にある。復興を切り口に平和の創り方を描く。子どもたちの力を育てることで世界平和の実現を目指す。
 多田さんは「カンナの花から勇気をもらったことを書かせていただいた。たじまさんから須坂市のカンナ・プロジェクトの活動を教えていただきご縁を感じ、漫画を読んでいただきたいと思って持参した。反戦ではなく平和をつくるためにどうしたらよいかのきっかけになればいい。ふるさと須坂の素晴らしさもぜひ発信して」と次世代に期待した。
 三木市長は「さまざまな形で平和活動をされている。須坂市の中学生も広島を訪問している」と述べた。
 御礼状には「寄贈図書は小中学校や図書館での平和教育、平和学習に寄与する。有意義に活用させていただきたい」とつづった。
 同書は電子書籍で無料で読めるという。日本語・英語・フランス語版が出ている。英語版をオバマ米大統領に送ると「あなたの物語に感動した」との返信が届いたという。
 ピースピースプロジェクトとは、ひとりひとりの小さな愛のかけら(Piece)が集まれば、大きな平和(Peace)を創りだすことができる、との意味。子ども世界平和サミットや平和教育の推進などの事業を実施している。

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