アサギマダラ坂田山でマーキング〜なぜ南へ謎のまま

2019-09-28 07:00 am by 須坂新聞

お知らせ icon 市立博物館は21日、暖かい南方まで渡りをする珍しいチョウ、アサギマダラの生態調査のためのマーキングを参加者とした。坂田山共生の森オオムラサキ飼育園に隣接する畑に植えたフジバカマに集まる成虫(雌雄)を捕虫網で集め、羽を傷めないように羽裏に油性ペンで場所「SUZAKA」や採集日、通し番号、登録者ネームを記した。前羽の長さを測り、雌雄の判定など必要事項を記録用紙に書いてから放した。
 今季の坂田山のフジバカマ(キク科)は、9月初旬に開花。10日すぎには蜜を吸うアサギマダラの姿が見られた。調査前日は花畑一帯の約600平方メートルに300匹ほどが集まっていた(昆虫研究家田中裕義さん)という。
 調査の日は一般参加者や坂田山共生の森を愛する会会員ら15人ほどが2枚の花畑に集まる150匹〜200匹を捕獲し、マーキングしてから放した。
 1時間半ほどで100匹にマーキングができた。後ろ羽に黒点の性標がある雄が大半を占め、後半になって黒点がない雌(雄より大きい)が見られた。
 初めて参加したという望月歩君(小1)は20匹ほどを捕獲し、調査に協力した。
 講師の今井彰さん(蝶=ちょう=の民俗館館長、本上町)は、過去の渡りについて、2007年8月25日に須坂で放し、10月20日に330km離れた大阪府池田市で捕獲された事例や、同年11月7日に1,234km離れた鹿児島県奄美市で捕獲された事例を紹介した。
 「南への長旅の8割は風に乗ってエネルギーを節約しながら飛ぶといわれる。1日1,000匹マーキングする人が1万匹放して確認され残る個体が300分の1の割合という。幼虫の時の食草(イケマ等)に毒性があり、鳥が幼虫も成虫も食べないので生き延びるとの説があるが、なぜ遠くまで飛ぶのかの疑問は今も解けない。調査に毎年参加し、マークし、放し続けるのは、“長寿への祈り”からではなかろうか。あやかりたい気持ちから」(今井さん)

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