旧小田切家住宅調査団〜製糸場含め全体像解明が使命

2013-08-24 07:00 am by 須坂新聞

まちづくり icon 須坂市は、旧小田切家住宅(春木町)の整備後の公開に向け、製糸業などを営んだ同家の歴史や建築物などを詳細に調べ、修復保存活用を提案する調査報告書を作るため今年5月、調査委員会(委員9人)を立ち上げた。補助機関として同月、調査団(10人)を設置し、その2回目の会議を先ごろ、旧上高井郡役所で開いた。
 調査団員は調査委員とは別に、地元の歴史に詳しい学識経験者や建築の専門家10人で構成する(4人は調査委員を兼ねる)。
 市が昨年度取得した同住宅の敷地は約1,300㎡だが、明治9年7月には居宅西側(現ドラッグストア側)に煮繭(しゃけん)・繰糸用の蒸気釜を設置した100人繰りの山七俊明製糸場を設立し、規模を拡大して大正7年まで操業していたとみられる。3階建て繭蔵や土蔵なども場内に存在していたようで、現敷地の倍か倍以上の広さと推定される。
 日本建築史(特に社寺建築と民家の評価)を研究する吉沢政己調査団長(伊那市、工学博士)は取材に「報告書は須坂での最初期に製糸場を始めている同家西側を含めて当時の全体像を解明し、同家と製糸と須坂を語るストーリーにしたい。江戸時代は小藩だが、明治以降の県内屈指の須坂のエネルギーの源を理解し、評価することが使命」と話す。
 同住宅は平成29年度に一般公開するため、26年度から3年かけて修復整備工事を予定。本年度は建物の精密耐震診断を実施した。また、調査委員会が来年2月ごろまでに修復方針や活用の方向性を固め、本年度に実施設計を行う計画だ。一方、昨年度から収蔵品整理調査を継続している。
 この日、市が同住宅の保存活用計画案(たたき台)として示したのは、母屋(木造2階建て、延べ床面積約360㎡)を保存建物として、建築当時の明治期に復元・修理する。四つある土蔵は収蔵庫や展示室3室で活用▽表門、車寄せ、水車小屋も保存建物として車寄せと水車小屋は解体復元。水車は復元
 ▽上店、店、向こうの家は保全建物として上店(木造2階建て、延べ床面積約120㎡)は貸し出しスペースに。店(同、約130㎡)は1階を事務所・物販・トイレに、2階を展示室に。向こうの家は屋外トイレ・物置に▽2カ所の庭園(北、奥)と離れ(木造平屋約15㎡)は現時点では未定―とした。
 同会議の内容は今月26日に開く第2回調査委員会に報告する。

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