【須坂温泉】施設整備向け貸付制度創設を

2013-06-29 07:00 am by 須坂新聞

政治・経済 icon 市議会一般質問は18〜20日、12人が市政をただした。須坂温泉の課題解決に向けた取り組み(宮坂成一議員の質問)の答弁で、市は5月の取締役会で同社から当面する課題3点の提案があったことを明らかにした。市は「須坂温泉は市民憩いの場と観光振興を目的に、市民や市議会からの要望を受け、市と市民の共同出資による市民温泉として設立した。設立経緯から地域や市ができることがあり、市は継続が図れるよう支えていく」とした。
 市が51%(現在)を出資する第三セクターの同社は昭和35年12月創立。今期(平成25年3月期、第53期)決算状況では、宿泊客は前期比95%の11,992人。日帰り客(宴会など)は89%の13,583人。入浴客は99%の12万6,306人。売上高は94%の1億8,400万円余。経常利益85万円。当期利益40万円。平成11年度から14期連続の黒字。
 だが、用地の86%が借地のため担保力とならないことから、金融機関からの借り入れには社長個人の保証が必要となっている。施設整備のための借入金は毎年滞りなく返済しているが経営を圧迫し、短期借入も社長個人からの資金借入に頼らなければならない状況が続いている。
 また、1,779人と大勢の株主が存在する株主構造(4株以下株主は約80%で持ち株比率約8%)や、正社員が極端に少なく、経営者を補佐すべき選任スタッフがいないことから経営者の後継者が育成されないなど厳しい環境下での経営が続いている。
 市は平成22年度に学識経験者や地元代表らで「須坂温泉あり方研究会」を設置。23年4月の提言では「5年後までの経営改善計画を作成する中で経営戦略の明確化や設備投資、資金繰り、人事などの処遇に向けての目的を明確にして改善に取り組むことを期待」すると指摘されている。
 同社の取締役会での市への提案は①装置産業として避けて通れない、大規模施設整備が必要な場合、多額の資金が必要となるため市貸付制度創設の検討を②長期借入金に対する利子負担軽減策として市による利子補給制度創設の検討を③経営を承継する場合に支障となる代表取締役の連帯保証問題―の3点。
 市は一般質問の答弁と24日の取材で①は昭和37年建設の南館の老朽化問題をはじめ、同社が本年度に作成する「10カ年実施計画」の提案を受けて検討していく。②の金利は24年度に金融機関の特段のご理解により、見直しが図られたと聞く。市による今後の利子補給は検討を始めた。
 ③は現社長の年齢も踏まえ、後継者検討の時期に来ていることは承知している。社長個人の会社への貸し付け(1,270万円)と、金融機関からの借入金(2億2,100万円余)に係る代表取締役の連帯保証は、早期解消すべき課題で後継者探しをする前提として避けて通れない重要課題と認識しているとした。
 さらに市は「取締役会の動向を見ながら、会社からの提案を今後具体的に詰めたい。地域づくり市民会議では市民に説明する。市民温泉の位置付けは変わらないので、市として議会や市民合意を経て可能なものから支援する。会社にはお客さまの要望に素早く対応してもらい、魅力ある食事の提供も必要。地域力活用ではイベント協力や喫茶スペースの有効活用などが考えられる。設立趣旨に市民理解も得たい」とした。
 市民憩いの「ふるさと温泉」の売り上げ増へ市民力が試される。

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