米子の瀑布群を国の名勝指定にしたい〜須坂市

2013-06-22 07:00 am by 須坂新聞

観光 icon 須坂市は全国に誇れる「米子の瀑布」(市指定名勝、昭和47年指定)の優秀な風致景観を、米子不動信仰や米子硫黄鉱山と共に自然科学的・人文科学的に調べるため14日、「米子の瀑布群」学術調査委員会を立ち上げた。文化財保護法による国の名勝指定を目指し、3年をめどに学術調査報告書を文化庁に提出したい考えだ。
 名勝景観評価や地形地質、植生、中世史、地域史の専門的見地を有する委員5人を市長が委嘱。正副委員長に亀山章東京農工大名誉教授(名勝景観評価)と笹本正治信大副学長(人文学部教授、中世史)を互選した。特別委員は山岳信仰に詳しい1人を、県教委など行政の3人をオブザーバーに委嘱した。
 須坂の「米子瀑布」について、これまで高く評価する声が市外から上がっていた。市は地域資源のブランド力向上が市民の誇りや地域に対する愛着心の向上につながるとし、日本の「米子瀑布」に取り組む。地元区に打診し、本年度当初予算に調査費を計上した。
 米子瀑布は、上信越高原国立公園内に位置し、不動滝(高さ85m)と権現滝(同75m)の2本の滝からなり、雄大さでは類がないとされる。平成2年には「日本の滝百選」に選定され、全国的知名度が高まっている。
 一方、滝は古来から修験道の象徴とされ、米子不動信仰として続いている。また、修験者=山師を介して硫黄の鉱脈が知られ、米子硫黄鉱山が須坂の産業の一端を担ってきた。
 市生涯学習スポーツ課は「国の名勝指定は文化審議会が諮問に答申し、国が指定する仕組み。国の名勝指定を目指し、今後、学術的価値の検討を行っていく」と話す。
 現地視察には2人の委員と2人のオブザーバーが参加した。
 市の車両に乗車した一行は、米子瀧山(たきざん)不動寺(米子町、竹前郷史住職)から瀧山不動寺奥の院本堂(市指定有形文化財、平成4年指定)へ、本尊不動明王の分身を行者が背負って運ぶ「奥の院開山祭」(お山登り)や、行者が不動滝に打たれる滝行(みそぎ)、展望台などの米子鉱山跡地を視察した。
 笹本副委員長は現地視察で「前回1回目は奇妙山遺跡を見て感激した。今回は2回目。神仏習合時代の信仰対象として自然があり、景観や人間の心持ちを含めてここには文化が存在する。奇妙山から拝む信仰の滝をどう位置づけられるか。私たちの勉強は始まったばかり。国の名勝指定を視野に入れ、潜在的価値の掘り起こしをしていきたい。ゴールは名勝指定ではない。いい景観をどう未来につなぐかだ」と述べた。
 国の名勝のうち、県内では光前寺庭園(駒ケ根市)天竜峡(飯田市)寝覚の床(上松町)姨捨(田毎の月)(千曲市)が指定される。全国の滝では、那智の大滝(和歌山県)白糸の滝(静岡県)華厳の滝(栃木県)などが指定される。

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