須坂市歴史的建物検討委員会〜活用して残す方策を提言

2012-02-25 07:00 am by 須坂新聞

まちづくり icon 須坂市歴史的建物維持保存活用検討委員会(委員長・土本俊和信大工学部教授、副委員長・青木広安市文化財審議委員、20人)は、昨年7月から4回開いてまとめた検討報告書を先ごろ、三木市長に提出した。歴史的建造物の活用を促し、まちづくりにつなげるため、補助制度の創設や税の優遇策を提唱。また、製糸産業の発展を築いた製糸結社「東行社」の創始者の一人、小田切辰之助の生家で、空き家となり傷みが進む小田切邸(春木町)の文化財としての高い価値や景観上の重要性から市に土地・建物の取得・活用の早期検討を申し入れた。
 市が一昨年実施した現況確認調査で、20年前に日本ナショナルトラストの町並み調査や文化庁補助事業で市教委が行った伝統的建造物群調査の対象375棟のうち、53%に当たる200が現存していることが分かり、市は対応を投げかけた。
 検討会は須坂の伝統的町並み景観を形成してきた歴史的建物を、活用して残すための方策など検討してきた。
 維持・保存・活用して残す対象建物(歴史的建造物)は①市内全域の伝統的建造物群保存対策調査の対象建物②そのほか建設後50年を経過した、須坂の歴史的な景観の保全に寄与する建物―とした。
 貸し借りしやすい仕組みとして、「仮称歴史的建物活用ネットワーク」(事務局・須坂市)を立ち上げ、貸し手や借り手を募集する。
 一方、新たに「仮称市歴史的建造物登録制度」を創設し、国などより緩やかな規制の下で幅広く保護の網をかける。「仮称市歴史的建造物」は所有者の同意を得て「仮称市歴史的建造物審査会」の意見を聴いて登録する。
 特に文化財的価値が高い歴史的建造物は、市指定文化財や国の登録有形文化財に指定・登録を検討する。
 補助制度は、国の登録有形文化財や仮称市歴史的建造物の所有者・借受者(市税の滞納でない者)が交付対象者。不特定多数の利用や10年間は取り壊さないなどの条件を付す。
 対象経費は、外観と内部(不特定多数の利用部分)の修理・改修に要する設計監理費と工事費。補助額は上限500万円。補助率5分の3以内。審査会が内容を審査する。
 税優遇は、建物では市指定文化財、仮称市歴史的建造物の固定資産税を半額に(現行は国の登録有形文化財に適用)。土地は国の登録有形文化財、市指定文化財、仮称市歴史的建造物の1階床面積分の固定資産税を半額に。
 市は補助金1,000万円と小田切邸取得費5,890万円(測量調査含む用地購入費)を含む一般会計当初予算を市議会に上程した。

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