有志の会が元京大教授招き、放射線学ぶ

2011-09-25 07:00 am by 須坂新聞

お知らせ icon 原発事故と暮らしを考える有志の会(永井光明、若山喬史、佐藤俊夫幹事)は先ごろ、市シルキーホールで講演会「暮らしの中の放射線〜諸刃(もろは)の剣」を開いた。約100人が出席した。講師の元京大原子炉実験所教授長谷博友さんは、放射性元素が出す電磁波のガンマ線(原子核から)やエックス線(核の外から)を全身に被ばくすると急性、晩発の影響がある半面、医療や農業、工業分野に広く利用されていると説明した。
 1977年以降、ベクレルはキュリーに代わって放射性物質の放射能の量を表す単位に用いられる。
 また、ガンマ線とエックス線に使う照射線量の単位は、レントゲンに代わってクーロン毎キログラム。
 放射線に照射された物質が吸収したエネルギーの量を表す吸収線量の単位は、ラドに代わってグレイ。1グレイは物質1kgに1ジュールのエネルギーを与える線量。
 線量当量は、吸収線量が同じでも放射線の種類やエネルギーが違うと人体への影響が違うのでこれを考慮した単位で、レムに代わってシーベルト。
 単位のベクレルやキュリー、レントゲン、グレイ、シーベルトは人の名前からつけた。
 自然界からは一人当たり年間2.4ミリシーベルトの線量当量を受けていて「日本は世界では比較的低い方ではないか」と述べた。
 ガンマ線、エックス線を全身に被ばくする場合、人体への影響として、急性は7シーベルト浴びると100%死亡。4シーベルトで30日以内50%死亡。年を取って症状が現れる晩発は、がんや白血病などが現れる。
 「チェルノブイリ原発事故後、7〜8年経って甲状腺がんが急激に高くなることが分かった。私は父の仕事の関係で長野高校から転校した。広島市の高校の同級生は7歳くらいで被爆し、70人近くいた普通科の生徒は72歳の現在、生存者が半数以下。明らかにがんによる死亡で、当時は元気な生徒だった」。
 放射線の利用では、脳腫瘍などがんの治療や各種病気の診断に。農業分野では倒れやすい稲を多収に変える品種改良、ウリミバエの放射線照射による不妊化駆除(害虫駆除)、ジャガイモの発芽・発根抑制、滅菌など食品の保存に。産業界ではプラスチックなどの性質の改良、石油輸送管の非破壊検査、タイヤの加工など幅広く利用されている。
 また、世界や日本で安全確認を怠ったり、線量・治療時間の計算ミス、事業者が安全教育を怠り誤った操作で放射線被ばく事故が発生している。
 「福島第一原発の炉心溶融、放射能汚染には県境はなく、原発のない長野県にも風が運ぶので安心とは言えない」とした。
 講師は1939年、上諏訪町生まれ。長野市の小中学校、長野高から広島市の高校へ転校。京大大学院修了(放射線物理学専攻)。京大原子炉実験所教授や日本放射線化学会副会長を歴任。

2011-09-25 07:00 am by 須坂新聞 - 0 コメント



須坂新聞


 須坂新聞はタブロイド判(20P~24P)で毎週土曜発行(年間48回)長野県須高地域(須坂市・小布施町・高山村・長野市若穂地区)で購読をいただいております。また配達地域外でも郵送にてご購読いただけます。購読料は1100円(月額/税込)です。購読お申し込みはこちらから。