小路、水路等活用して住まう〜蔵の町並みキャンパス

2011-02-20 07:00 am by 須坂新聞

まちづくり icon 信州大学や清泉女学院大学、文化女子大学が須坂市をフィールドに授業や研究を深める「蔵の町並みキャンパス」(事務局須坂市)は先ごろ、5年目の成果発表会を須坂商工会館で開いた。信大工学部建築学科の学生10人は住居に生活の場のほか、人が集まる空間を設け、小路や路地、水路、水車などの隣接空間も活用して、10年、20年と時間をかけてまちをつくっていく仕掛けなど独自の視点で提案した。
 信大生は、中心市街地の中町・新町周辺を鳥の目で見て住みたくなる「街区の再生」をテーマに取り組んだ。
 また、古い家並みが残る新町の岩崎邸を生活者の目線で自由に設計した「民家の再生」について発表した。
 住民の増減が少ない地域では、いつまでも「住まう」(住み続ける)ことを重視して「居場所」としての再生(有賀なつきさん)や「ここに住まうということ」(立松裕規さん)を大事にした。
 「みちのつながり、ひとのつながり」(鳴海敬大さん)は小路を作って街区の魅力を増し、時間をかけてゆっくり変化させていくよう提案した。
 「水路にみずを、街にひとを」(松村政彦さん)は、水路がかつては製糸のまちの動力源として使われていたことを踏まえ、水路に水車を架け、銀行の屋上にためた雨水を直径6㍍以上の巨大水車に落とし、須坂の木を製材する施設を考えた。「上流の人が山や木、水を整備して下流へつなぎ、人々の交流が生まれ、魅力あるまちができていく」(松村さん)と描いた。
 一方、民家の再生の「結建(けっこん)」(近藤隆太さん)は、老夫婦、若夫婦の2世帯空間や地域の空間を結び、地域との触れ合いをいろり空間で表現した。
 古民家を下宿にした「しぇありんぐ民家」(中山裕貴さん)、集合住宅と学童保育の場をつくる「大きな家族」(横山仁美さん)、パン製造・体験・飲食の店舗と住宅とする「二つの壁―小通り活性化計画」(渡辺良太さん)など独自視点を強調した。
 文化女子大学は、都市と田舎を結ぶ新しい暮らし方を提案するため昨年仁礼で行った「古民家再生プロジェクト」の須坂合宿を報告した。
 日常を暮らす人の目で芸術や造形を考える学部で学ぶ学生は、築120年の養蚕農家の手作り改修を体験。エノキ瓶を使ったキャンドルランプを作製し、稲刈りも体験した。
 まちの核となるシンボルや看板等のサイン計画、景観の工夫でまちの総合デザインを考えてと指摘した。
 清泉女学院大学は、人間学部心理コミュニケーション学科1年の「基礎ゼミ」で調べた地場産品のみそを使った提案など行った。
 出席した市民は「路地が意味を持つことを知った」「水路を昔のように生かせないか」「製糸の道具を展示して、その中で郷土料理などを食べたい」と感想を語った。

2011-02-20 07:00 am by 須坂新聞 - 0 コメント



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