【新春インタビュー】村石久二スターツ会長(須坂市出身)

2010-01-01 07:01 am by 須坂新聞

工業・商業 icon◇長期思考重視、社員の夢も大事に〜「母親的経営です」
 総合ビジネス誌『財界』(財界研究所発行)が先ごろ発表した平成21年度「財界賞・経営者賞」(合計8人)の「経営者賞」(6人)に、須坂市小島町出身の村石久二(ひさじ)スターツコーポレーション会長兼グループCEO(65)が選ばれた。
 村石会長は豊洲小、相森中、須坂商業高を卒業(昭和38年3月)後、大和銀行に入社。横浜や東京で6年間、銀行員時代を過ごし、24歳の昭和44年、独立して千曲不動産(現スターツコーポレーション)を開業。昨年、創業40周年を迎えた。スターツグループの主力は建設・不動産・管理事業で、総合不動産店舗ピタットハウスは全国で約380店舗を展開(取材時)。ほかに出版やホテル・旅館、セキュリティー、証券、信託、高齢者支援・保育など事業を多角化し、地域密着でホスピタリティーあふれるサービスを提供、「総合生活文化企業」を掲げている。
 米国や中国、オーストラリア、タイ、ベトナム、ドイツなど海外9の国と地域に14拠点を構え、国内外に合計49社、約5,000人が働く。売上高1,200億円(平成21年3月期連結)を誇るスターツグループを統率する。
 財界「経営者賞」受賞の評は「不況期でも強い企業として着実に成長を遂げ、解雇はせず、適材適所で働ける企業づくりに努めてきた。スターツ出版はケータイ小説ブームを主導し、出版界に新風を巻き起こした」。
 受賞について、本紙の取材に快く応じた村石会長は「経済界を代表する方々が受賞されてきた賞を、グループを代表して頂くことができて本当にうれしい。スターツは好不況にかかわらず、変わらぬペースでマラソンのようにコツコツと走り続ける会社。今後も愚直に、ヒューマニズムにのっとった経営方針を貫きたい」と語る。以下、談話。

■銀行超える「夢」抱いて独立
 大和銀行に入社して6年目の春、創立50周年預金増強月間に没頭した後、言い知れぬむなしさに襲われました。いくら成果が上がっても、自分は銀行という大組織の中の1人にすぎない。そして、役員になるつもりで入社した大和銀行には、当時、高卒の役員がいませんでした。虚無感が膨らむ中、むなしいまま一生を終えるか独立するか。独立する以上は創業50年の間に、大和銀行を一度でいいから営業利益で超えてみたいという夢を抱いていました。
 利益で銀行を超えられる業種を検討し、消去法で不動産業を始める決意をしました。

■積層ビジネスを不動産業に導入 
 銀行は積層ビジネスの典型で、3月31日も4月1日も預金と貸金の差(利ざや)は変わりませんが、受注産業は期が変わるとゼロからのスタートとなります。独立してからも、銀行のように安定的なストック収入(賃貸物件の管理手数料)をコツコツと積み上げてきました。
 土地の有効活用としてお客さまの資産となるアパートやマンションを建築、その入居者をグループで募集し、管理させていただく。事業のゴールは常に積層ビジネスになるかということで、経営方針やコアの部分を貫いてきました。

 ■人材活性化で事業を多角化
 管理事業の安定収入をもとに、独立時のもう一つの夢であった出版業を手掛けたほか、お客さまの資産を守る証券や信託、ホテル・旅館、高齢者支援・保育など、住宅を主体とした総合生活文化企業として事業が広がることで、社員の活躍の場も広がりました。
 私は一度入社した人とは別れたくない。自分で新しいことをしたいという社員の自己実現のためには、ローリスク・ミドルリターンのグループ内独立という形で応援します。
 私自身、母・祖母・姉と女性が多い中で育ったせいか、自然と厳しくても愛情ある母親的な経営をしてきました。社員には複合立体的に物事を考えること、ホスピタリティーとは何かなど、人間本来の大切なことを教え、長期的な考え方を徹底的に植え込み、お客さまの立場に立ったサービスを提供してきました。それがなければ波乱万丈の経済の中で、40年も安定した経営を実践できなかったと思います。

■ファンを増やすまちづくりを
 須坂市は蔵の町並みや自然景観など良き伝統が継承されていて、北アルプスが望めるのが一番の魅力。須坂ファンを増やし、足を運んでもらうことが大切です。自然の中だからこそ得られる「幸せ感」を再認識してほしいと思います。

《スターツグループの歩み》
 村石氏が24歳の昭和44年3月、6年勤めた大和銀行を退職して東京都江戸川区に千曲不動産を個人創業。昭和47年、株式会社に。昭和50年、千曲建設?設立。和風レストラン「千曲川」開店。
昭和58年、千曲出版?(現スターツ出版)設立。昭和59年、創業15周年パーティー(以降、5年ごとに開催)。社名を「スターツ」へ。昭和60年、千曲管理サービス?(現スターツアメニティー)設立。昭和61年、ハワイ現地法人設立。昭和63年、大阪支店設立。
 平成元年、茨城県谷和原にスターツ総合研修センター完成。第1回TPCスターツ・シニア・ゴルフトーナメント開催(10回開催し、平成20年に第11回として再開)。スターツ?東京店頭市場に株式公開。平成2年、サンスポ千葉マリンマラソン協賛開始(翌年から特別協賛として定例化)。
 平成11年、第1回ピタットハウスレディース(現スターツレディースゴルフ)開催(定例化)。スターツ証券?設立。平成12年、村石氏がスターツ?会長兼グループCEO就任。?リアルジョブ(現ピタットハウスネットワーク)設立。スターツ陸上競技部設立。平成13年、シャーロック?設立。スターツ出版がジャスダック市場に上場。グループ本部が日本橋に移転。平成15年、スターツホテル開発?、スターツケアサービス?、九州スターツ?設立。
 平成16年、グアムのゴルフ場・リゾートホテル(現スターツグアムゴルフリゾート)を取得。平成17年、スターツ?をスターツコーポレーション?に商号変更。同社を持ち株会社として4社を新設分割。平成18年、?ビルコム(現スターツファシリティーサービス)をグループに加え、総合ビル管理事業に進出。幕張新都心(千葉県)にオフィスビル取得。平成19年、第1回東京マラソンにナンバーカード協賛(以降毎年)。日本橋にオフィスビル(現スターツ八重洲中央ビル)を取得。戸倉上山田温泉「ホテル清風園」、日光川治温泉「湯けむりの里 柏屋」の事業を継承。平成21年、創業40周年。主要都市(札幌・仙台・名古屋・大阪)に新会社設立。スターツ信託?設立。

2010-01-01 07:01 am by 須坂新聞 - 1 コメント



のの @ 2010-01-13 10:49 pm

勢いがありますね。
でも、もうすこし社員の生活が楽になると
よいですね。。。
親としては過労死するのでは?と
心配になるくらい休みなく
働いているので、、、
お金と時間。少しの余裕がほしいところ。
社員と、その先にいる家族の幸せまで
考えられる経営をのぞみます。
応援しています。

須坂新聞


 須坂新聞はタブロイド判(20P~24P)で毎週土曜発行(年間48回)長野県須高地域(須坂市・小布施町・高山村・長野市若穂地区)で購読をいただいております。また配達地域外でも郵送にてご購読いただけます。購読料は1100円(月額/税込)です。購読お申し込みはこちらから。