原油高騰―食の値上げ進む「もう限界…」

2007-12-16 07:00 am by 須坂新聞

政治・経済 icon 原油や食品原料の世界的な価格高騰を受け、生活に身近な地元の食品店が値上げ対応を迫られている。コスト上昇分を適正に価格転嫁したいが、消費の落ち込みは避けたい。家計はもちろんだが、地域を支える商店も苦境に直面している。�
 小麦の値上がりに四苦八苦しているのがパンやラーメン店だ。素朴な味わいが人気の清水ベーカリー(高山村堀之内)は「年始めに比べ、小麦粉が1袋25kgで300円近く上がった。来春の再値上げの通知も来ている。揚げ物に使う食用油、マーガリン、くるみ、コーンなどパンの原料すべてが上がった。今年は頑張るが、来春から値上げせざるを得ない。20年以上、値上げしないでやってきたが限界」と話す。
 須坂ショッピングセンターの司会塾も看板メニューのつけめんなどを100円値上げした。「低価格で頑張ってきたが、味を保つため。その分、昼のコーヒー無料サービスを行う」と理解を求めている。
 市内の別の食堂は、豚肉は信州みゆきポーク主体、コメは野沢農産生産組合―など食の安全性と味を追求し、物価高の時代にあえて定食を50円値上げした。「生き残りをかけた挑戦の時」と話す。
 みそやとうふ業界は米国産を中心に原料の大豆の価格が上昇しているため、対応に苦慮している。
 信州蔵出しみその糀屋本藤醸造舗(須坂市村石町)は「使っている国産大豆が、外国産につられて値上がり傾向。大豆を煮たり蒸かしたりする蒸気ボイラーも燃料の重油価格が上昇。今は春夏の仕込みがあるので価格据え置きだが、来年度は仕込み原料の価格上昇に応じて値上げせざるを得ない。大手は来年2月から1kg15円ほど値上げの方向。日常食なので上げ幅は極力抑えたいが、中小ももう我慢できない」と話す。贈答などに使う段ボール箱の価格は12月から50円上げた。
 とうふの大坂屋(須坂市北原町)は「ことし4月と12月を比べて、米国産大豆が30kg2,950円から3,150円、ボイラー燃料の灯油が1リットル72円から88円、油揚げ用の豊年油が18リットル3,300円から3,700円に上がった。パックも値上り。商品の値上げはちゅうちょしているが、小さい店はどこも大変。味で勝負していく」と訴える。
 ある食品業者は「須坂にもスーパーがたくさんできた。こういった大手小売店に食品を卸している地元メーカーが大変。良質の製品を作っても、県外の大手メーカーとの安値競争にさらされ、適正な値上げの選択肢さえない。先行きが心配」と指摘する。
 「東京は所得が増えているから値上げできるが、地方は厳しい。特に須高地区は求人倍率が0.89%(10月)で県内最低。雇用状況が悪く、生活に困っている地域での物価上昇はきつい」との声も。

2007-12-16 07:00 am by 須坂新聞 - 2 コメント



FAP @ 2007-12-17 11:14 pm

パン用小麦粉(業務用25kg)は、195円の値上がりです。来春には400円以上の値上げが有るかもしれません。
それよりもスパゲティー関係がショートの可能性が有ります。来年は、高い・安いではなく有る・無いの世界に
突入しかねません。

須坂新聞編集部 @ 2007-12-18 02:08 pm

FAP様
コメントありがとうございます。

須坂新聞


 須坂新聞はタブロイド判(20P~24P)で毎週土曜発行(年間48回)長野県須高地域(須坂市・小布施町・高山村・長野市若穂地区)で購読をいただいております。また配達地域外でも郵送にてご購読いただけます。購読料は1100円(月額/税込)です。購読お申し込みはこちらから。